
ニュージーランド政府が、富裕層向けの「黄金ビザ」とされる居住許可制度の要件を緩和したことを受け、米国人を中心に申請が急増している。
英紙ガーディアンによると、連立政権は4月、「積極的投資家プラスビザ」のビザ要件を大幅に緩和し、2か月余りで189件の申請を受理した。これは過去2年半の累計116件を大きく上回った。
緩和策は、新型コロナウイルス流行後の景気低迷への対応として実施された。投資額の下限は従来の約3分の1にあたる500万ニュージーランドドル(約4億3,717万円)に引き下げられ、英語力に関する要件も完全に撤廃された。国内の義務滞在期間も3年から3週間に短縮された。
移民局によると、申請189件のうち約半数にあたる85件が米国籍で、中国(26件)、香港(24件)が続いた。このうち約100件がすでに原則的に承認されたという。
米国からの申請増加について、スチュアート・ナッシュ前経済開発相は、トランプ政権下の政治的変化を要因に挙げ、「国際情勢の不安定化により、安定した民主主義と独立した司法、安全な銀行制度を備えるニュージーランドが、米国人にとって魅力的な移住先となっている」と語った。
ニコラ・ウィリス経済成長相は、「このビザにより、約8億4,500万ニュージーランドドル(約738億8,249万円)の新規投資が見込まれる。申請者は技術や知見を通じて経済成長を支える。双方にとって有益だ」とする声明を発表した。
ガーディアン紙は、「米国人がニュージーランドへの移住に関心を示すのは、今回が初めてではない」と報道。2016年のトランプ氏の大統領選勝利後、移民関連ウェブサイトへのアクセス数は2,500%増加し、2022年に米連邦最高裁が中絶権を否定する判決を出した際にも、4倍に増えたと伝えた。
昨年のトランプ氏の再選後も、ニュージーランドの不動産市場に対する米国投資家の関心が高まっているという。
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