
米国と中国の対立が再び表面化している。米情報機関が公然と中国人スパイの勧誘に乗り出したのに対し、中国はこれに強く反発し、人材の管理を強化するなど、緊張が高まっている。
最近、米中央情報局(CIA)は「中国人スパイ勧誘」をテーマにした動画を公開した。2分間のこの動画は、中国共産党の幹部と若手党員を主人公に据えた。動画は「中国の体制では、簡単に忘れ去られ、誰にも記憶されず、一人が突然姿を消すことも珍しくない」と体制内部の恐怖を煽った。
米国に協力すればより良い生活が送れるというメッセージも込められていた。動画の最後には「最初の一歩を踏み出すのが最も難しいが、今こそ自分の夢を追うべきだ」という誘導的なナレーションが添えられた。公開から1か月で再生回数は250万回を超え、大きな反響を呼んだ。
中国は即座に反発した。中国の防諜機関である国家安全部は「恥知らずにも冗談を言っている」と厳しく批判した。同時に「売国奴になろうとするなら、法の裁きを免れない」と警告し、内部の引き締めに着手した。
この管理はレアアース関連の人材にまで拡大している。中国政府はレアアース企業に対し、従業員名簿と個人情報の提出を求めたという。重要人材の海外流出を事前に防ぐため、パスポートの返納まで指示し、政府の許可なしでは出国が困難になる措置も検討中だ。
中国は世界のレアアース生産量の約60%、加工量の90%を占める。以前、米国との半導体技術規制交渉の過程でも、中国はレアアース輸出の再開を交渉材料にした。今回は人材そのものを交渉カードとして活用し、欧州などとの戦略的交渉の準備も進めている様子だ。米中間の覇権争いが資源と人材という二つの軸を中心に全方位的に拡大している。
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