習近平国家主席に「権力低下説」?米シンクタンクが注目、背景に何が

米国の保守系シンクタンク「ジェームズタウン財団」が発行する『チャイナブリーフ』で、中国の習近平国家主席に関する「権力低下説」が取り上げられ、注目を集めている。長らくネット上の噂にとどまっていた話題が、初めて信頼性のある機関から発信された形だ。
記事によれば、中国の国営メディアで習主席への言及が急激に減っているという。『人民日報』や『新華社通信』など、これまでなら「習主席の指導の下で」などの文言が必ず見られた報道から、習主席の名前や思想が姿を消している。米中外交や重要政策の発表でも、その傾向は顕著だという。
さらに習主席は最近、自身の娘をベラルーシ大統領との晩餐に同席させたが、中国政治において指導者が子どもを公の場に連れて現れるのは「引退の兆し」と解釈されるケースが多いとの指摘もある。
このような動きを背景に、SNS上では「秋に習主席が失脚する」との声も広がっている。失脚説を強める材料としては、最側近たちの相次ぐ更迭や行方不明も挙げられる。国防省・外交部のトップが次々と退任し、軍内の重鎮の一人は3か月以上公に姿を現していない。
とはいえ、こうした見方に慎重な立場を取る専門家も多い。習主席は今年すでに3度の外遊を行っており、政権基盤が不安定であれば実現が難しい行動だ。さらに、9月には天安門での抗日戦争勝利80周年イベントで習主席が演説すると発表されており、依然として「健在ぶり」を強調している。
年内に開かれるとされる中国共産党の重要会議「第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)」では、こうした憶測に対する一定の答えが示される可能性もある。体制内の人事や軍部再編を通じて、今後の権力構図がどのように描かれるのか、注目が集まっている。
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