
ドナルド・トランプ米大統領は7日(現地時間)、日本と韓国のすべての製品に対して8月1日から25%の相互関税を課すと通知した書簡を公開し、その背景に注目が集まっている。14カ国を対象に関税賦課を予告する中、日本と韓国宛ての書簡のみ内容を明らかにしたためだ。これまで日本と韓国が比較的誠実に交渉に臨んできたため交渉期限を延長してきたという見方や、最終期限を設定することで米国に有利な条件を引き出そうとする狙いがあるとの分析も出ている。
トランプ大統領はこの日、トゥルースソーシャルで公開した貿易関連の書簡で「我々の関係は残念ながら互恵的とは言えない」と述べ、「2025年8月1日から、米国に輸出されるすべての韓国製品に25%の関税を課す。この関税は既存の品目別関税とは別に適用される」と明らかにした。この書簡は韓国のイ・ジェミョン大統領宛てのものだった。25%という関税率は、トランプ大統領が4月2日に韓国に課すと発表した相互関税と同率だ。
日韓両国に同内容の書簡
トランプ大統領は当初、4月9日に相互関税の賦課を90日間猶予し、韓国には現在まで基本関税10%のみを課して貿易交渉を進めてきた。今後、米韓間で新たな和解が成立しないまま8月1日を迎えれば、当初の予定通り25%の関税を課すという。トランプ大統領は日本にも同内容の書簡を送った。
同盟国への圧力で短期間での交渉妥結を狙う
トランプ大統領が日本と韓国の書簡のみを公開した理由について、様々な見方が出ている。まず、日本と韓国は米国に対して大規模な貿易黒字を計上してきた国であるため、これらの同盟国にまず圧力をかけることで短期間での交渉妥結を促す戦略的意図があるとの分析だ。
他のアジア諸国への見せしめ
トランプ政権はこの日、マレーシア・南アフリカ・ミャンマーなど計14カ国に書簡を送付したが、韓国・日本のみを先に公開することで国際世論と市場により大きな波紋を呼ぶことを狙ったとみられる。アジアで中国を除く経済大国である両国との交渉過程を示すことで、他のアジア諸国に警戒感を与える狙いもあるだろう。
日韓の競争も視野に
また、日本と韓国を競わせる効果も考慮したとみられる。トランプ大統領は第1次任期の初期から一貫して「米国は世界のために市場を開放したが、見返りに得たのは巨額の貿易赤字だ」と主張してきた。日本と韓国は自国市場を比較的閉鎖的に保ちながら米国市場を活用しているという認識を持っている。
中国よりも米国内の懸念が少ない
また、日本と韓国への関税圧力が政治的側面でトランプ大統領にとって安全な選択だという分析もある。2024年の大統領選に向けて、トランプ大統領は「強い米国」と「不公正貿易の終結」を主要メッセージとして掲げている。その中でアジアの同盟国である日本と韓国を対象とすることは、中国ほどの強い反発を招かずに米国内の保守的な有権者に政治的成果をアピールできるからだ。
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