
ドナルド・トランプ米大統領が公言した関税交渉期限が2日後に迫る中、欧州連合(EU)は米国との和解に向け最終交渉を行っている。
米紙『ワシントン・ポスト(WP)』は6日(現地時間)、「米欧代表が基本合意のみの貿易協定について交渉を継続している」と報じた。「トランプ大統領が警告するEU製品への50%関税を回避するための合意は、米政府が9日までに締結予定の複数合意の一つ」とした。
『ガーディアン』は、「EUは先週、包括的貿易協定の達成は不可能と認め、代わりに『原則的和解』とされる基本合意を目指す方針を示した」と伝えた。原則的和解でまず50%関税の実施を阻止し、その後も追加交渉を続ける方針とされた。
『フィナンシャル・タイムズ(FT)』によると、トランプ政権のシナリオは三つに分かれる。原則的和解を締結した国には10%関税を維持しつつ追加課税を検討し、合意に至らなかった国には4月発表の関税率を適用し、協議を誠実に履行しなかった国には4月発表より高い関税を課すとした。
トランプ政権は4月、EUに20%の「相互関税」を発表後、50%への引き上げ方針に転換し、圧力をかけ続けている。トランプ大統領はEUを「米国を搾取するために設立された組織」と認識している。
EUは報復関税の課税を延期し、自動車など工業製品関税の全面撤廃を目指して数カ月間交渉を続けてきたが、成果は上がらなかった。このため、現行10%関税と自動車などへの分野別関税を維持した上で追加交渉を続ける原則的和解の成立可能性が高まっている。
『ガーディアン』は、「EUが10%の『基本関税』と自動車、鉄鋼、アルミニウムに対するその他関税を維持しながら交渉を延長するための政治的合意以外に、他の合意を締結できる能力には疑問が呈される」と指摘した。
同紙によると、EUの対米貿易規模は1兆6000億ユーロ(約272兆7,243億円)で英国(3140億ポンド/約61兆9,845億円)を大きく上回るが、最終的に米国・英国間合意に及ばない結果を受け入れる可能性が高いとした。EUは10%の基本関税を受け入れる代わりに、農産物や医薬品など特定品目に対する追加関税を回避することを目指しているとされた。
FTによると、トランプ政権は3日、EU代表のマロシ・シェフチョビッチ貿易・経済担当執行委員に対し、EU産農産物に17%の関税を課す計画を通告した。ただし、EU主要国間には依然として意見の相違がある。対米最大輸出国のドイツは早期和解による不確実性解消を求める立場である一方、フランスは拙速な和解が不均衡を招く可能性を懸念している。
一方、原則的和解が成立した後、詳細交渉が長期化すれば、状況がEUに有利に展開する可能性があるとの見方も出ている。WP紙は、「トランプによる関税課税は有権者に不評であり、16カ月後に議会選挙(2026年11月中間選挙)を控える一方、欧州の指導者は2029年まで選挙がなく、より長期の耐久が可能とみられる」と分析した。
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