
「チベット問題を利用した中国内政干渉は控えるべき」…共に祝賀した米国・台湾には言及せず
中国政府は、チベットの精神的指導者ダライ・ラマ(法名:テンジン・ギャツォ)の90歳の誕生日を祝ったインド政府に対し、外交ルートを通じて抗議したと明らかにした。
中国外交部のマオ・ニン報道官は7日の記者会見で、「周知の通り、ダライ・ラマ14世は宗教の名を借りて長年にわたり反中分裂活動に従事し、チベットを中国から分離しようとする政治的亡命者だ」と述べ、「今回の件について中国はインド側に外交ルートを通じて抗議した」と語った。
さらに、「インドはチベット問題の高度な敏感性を十分に認識し、ダライ・ラマ14世が反中分裂活動を行っているという本質を正しく理解すべきだ」としたうえで、「チベット問題に関する自国の立場を守り、発言と行動には慎重さを持つべきだ。チベット問題を利用して中国の内政に干渉する行為はやめるべきだ」と強調した。
問題となった祝賀行事は6日(現地時間)、チベット亡命政府があるインド・ヒマラヤ地方のダラムサラで開催された。現地には多くの信者が集まり、ダライ・ラマの90歳の誕生日を祝ったという。
この行事に際し、ナレンドラ・モディ・インド首相をはじめ、マルコ・ルビオ米国務長官、ビル・クリントン氏、ジョージ・W・ブッシュ氏、バラク・オバマ氏といった米国の元大統領たち、さらにライ・チントー台湾総統らが祝辞を寄せたとのこと。
ルビオ長官は「ダライ・ラマは統合、平和、慈悲のメッセージを体現し、人々にインスピレーションを与え続けている」とコメントした。モディ首相はSNS「X」で「ダライ・ラマ猊下の90歳の誕生日に際し、14億人のインド国民と共に心からお祝い申し上げる。猊下は愛と慈悲、忍耐、倫理の永遠の象徴である」と祝意を示した。
1959年、中国の統治に反発してチベットからインドへ亡命したダライ・ラマは、インド北部に亡命政府を樹立し、非暴力による独立運動を率いてきた。
中国政府はダライ・ラマを分離主義者と位置づけており、チベットを含む少数民族の分離独立の動きを警戒しつつ、国内統合を推進してきた。また、ダライ・ラマの国際的影響力を抑えようと、彼との接触を図る国々に圧力をかけ続けている。
ただし、今回の祝意表明に対し、中国が直接抗議したのはインドに対してのみで、アメリカや台湾に対する非難声明は今のところ確認されていないという。
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