
エヌビディアが米市場で史上初となる時価総額4兆ドル(約585兆円)を突破し、世界で最も価値のある企業の座に就いた。
米東部時間9日午前、株価は最大2.8%上昇して164.42ドル(約2万4,047円)を記録。
年初には、中国のAI投資減速懸念や貿易戦争の影響で株価は軟調だったが、わずか半年で強烈な巻き返しに成功。AI需要の再加速を追い風に、前例のないマイルストーンを打ち立てた。
『ブルームバーグ』によると、エヌビディアの株価は年初からすでに20%以上上昇。2023年から数えるとその伸び率はなんと1,000%を超えるという。現在、S&P500構成銘柄全体に占めるエヌビディアの比率は7.5%に達し、過去最大となっている。
1993年に台湾系アメリカ人のジェンスン・フアン氏が創業したこの企業は、設立から32年で「世界最高の企業価値」という称号を手にした。
株価上昇の原動力となっているのは、AI分野への巨額投資を拡大するメガテック企業の動きだ。マイクロソフト、メタ、アマゾン、アルファベットといった巨人たちは、次の会計年度に約3,500億ドル(約51兆1,943億円)もの設備投資を計画しており、前年より10%以上の増加が見込まれている。これらの企業だけで、エヌビディアの売上の4割以上を占める。
「AIが次のステージに進むには、エヌビディアのチップが不可欠だ」。ジャックス・アセットのブライアン・マルベリー氏はそう断言する。
マホニー・アセット・マネジメントの社長ケン・マホニー氏は、「次の株価上昇のきっかけは、まもなく始まる決算シーズンになる可能性がある」と見ている。
また、「エヌビディアのバリュエーションは現在、過去10年間の平均よりも低い水準にあり、株価にはさらなる上昇余地がある」と指摘。
現在のPERは約33倍で、「同社の売上成長を考慮すれば、それほど割高とは感じられない」と述べた。
ブルームバーグによると、アナリストの約90%が今なおエヌビディアを「買い」評価しており、平均目標株価は現在より6%ほど高い水準に設定されている。
時価総額でエヌビディアに次ぐのはマイクロソフトで約3.7兆ドル(約541兆1,463億円)。長らくトップだったアップルは3.1兆ドル(約453兆3,928億円)で、現在3位に後退した。
2022年初め、アップルが初めて時価総額3兆ドル(約438兆7,673億円)に到達した時、エヌビディアはわずか7,500億ドル(約109兆6,984億円)程度だった。それが今では、すべてを追い抜きトップに立った。
現在、2兆ドル(約292兆5,292億円)超の時価総額を持つ企業は6社。エヌビディア、マイクロソフト、アップルに加え、アルファベット、アマゾン、そしてメタが名を連ねる。一方、一時は2兆ドルを超えていたテスラは、現在1兆ドル未満での取引にとどまっている。
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