
米中央銀行である連邦準備制度(FRB)内では、年内に利下げを再開するという見通しが浮上しているが、その時期や実施の可否をめぐっては幹部の間で意見が分かれているという。
9日(現地時間)、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などの報道によると、同日に公開された6月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、FRBの複数の高官が年内後半の利下げを予測していることが明らかになったという。
これは、以前からジェローム・パウエルFRB議長に対し利下げを促してきたホワイトハウスの立場と多くの点で一致している。
ただし、前回の会議に参加したFOMC委員のうち2人は、早期利下げには反対の立場を示したという。
次回のFOMC会議は今月29日から30日にかけて開催される予定とのこと。
議事録によると、一部のFRB幹部は、今後米国の雇用市場が悪化するか、輸入品への関税措置によって一時的に物価上昇(インフレ)が生じた場合、今年後半に利下げを行うのが適切だと考えているという。
一方で、ごく一部の幹部は、米国の消費者物価がFRBの目標である2%まで下がるペースが鈍く、現時点では利下げを正当化できないという見方を示している。
米国の5月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で2.7%となり、前月の2.6%から0.1ポイント上昇したとのこと。
WSJは、FRB幹部らが中国などとの貿易摩擦が交渉により緩和されたとはいえ、インフレや雇用市場の縮小リスクが依然として残っているとし、特に物価上昇を経済活動の鈍化よりも重大なリスクと捉えている姿勢を示したと報じている。
また、多くの幹部は、関税の導入が長期的なインフレにつながる可能性は低いとしつつも、しばらくはリスク要因として残り続けるとの見方を示している。
パウエルFRB議長とミシェル・ボウマン、クリストファー・ウォーラーFRB理事は、現在のインフレ動向が利下げを前倒しするほどの水準まで低下する可能性は低いと予測しているという。
パウエル議長は、先月行われた米議会公聴会会を含め、7月の利下げについて言及しておらず、投資家の間では9月の利下げ再開が有力視されている。

注目の記事