
米国のトランプ大統領が他国との貿易交渉で求める結果が得られなければ、来月1日から通商相手国に対して予告済みの関税を実際に発動する構えであることが明らかになった。単なる「脅し」ではなく、現実に動く可能性が高いと政権高官が警告している。
米『ABCニュース』の13日(現地時間)報道によると、ホワイトハウス国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長はインタビューで「大統領が十分な合意が得られないと判断すれば、関税は本当に発動される」と発言。「協議は続いているが、最終的には大統領の判断次第だ」とも語った。
トランプ大統領はすでに、欧州連合(EU)およびメキシコに30%、カナダに35%、さらにブラジルには異例の50%という関税率を来月1日から課すと通告している。ハセット委員長はこれについて「トランプ大統領はルートニック商務長官らが交渉してきた合意案を確認したが、『内容が不十分だ』と判断した」と説明した。
特にブラジルへの50%関税については、トランプ大統領がブラジル政府の姿勢とボルソナロ前大統領の扱いに強い不満を抱いていることが背景にあるという。トランプ大統領は、現在クーデター計画容疑で裁判中のボルソナロ氏を「政治的迫害の犠牲者」として公然と擁護しており、9日には従来10%だった関税を一気に50%に引き上げると通告していた。
また、ハセット委員長は「仮に銅に50%の関税を課しても、米国内での製造コストは上がらないだろう」と指摘。その理由について「ダンピング(不当廉売)を行っている国がコストの多くを負担するため」と述べた。
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