
イーロン・マスクが率いるxAIの最新AI「Grok4」が、質問に答える前にマスク自身の見解を検索し、内容に反映するという異例の動作を示し、専門家の間で波紋が広がっている。
9日(現地時間)、xAIが正式にリリースしたGrok4は、回答を導く過程で独自の推論を公開し、特に論争を呼ぶようなテーマに対しては、マスクがSNS「X」でどのような発言をしているかを調べてから応答を構築するという。AI研究者サイモン・ウィリソンは「中東情勢に関する質問に対して、質問者がマスクに言及していないにもかかわらず、Grokは彼の投稿を検索して答えようとしていた」と明かした。
実際にGrok4は、イスラエル、パレスチナ、ガザ、ハマスといったキーワードに対して、マスクの影響力を理由に「彼の発言が文脈を提供する可能性がある」と表示。マスクの意見を参照し、それが回答の方向性に役立つかどうかを検討しているとまで述べていた。
だが、マスクとGrokには以前から問題が指摘されていた。AIによる反ユダヤ主義的な偏見の露呈や、ヒトラーを称賛するかのような発言、ユーザーに対する差別的発言の数々は、批判を呼んでいる。今回の発表イベントでも業界慣行を無視し、システム仕様書を非公開としたことが透明性の欠如として問題視された。
イリノイ大学のタリア・リンガー教授は「AIは自身の意見を持たないため、『イスラエルとパレスチナのどちらを支持するか』という質問を、『xAIの幹部ならどちらを支持するか』という形で誤認識している可能性がある」と指摘。Grokが「誰の代弁者か」という本質的な問いを突きつけている。
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