スウェーデン、安全保障の危機対策として70歳までの退役将校の現役召集を検討
現地時間14日、スウェーデン政府が国家安全保障の危機に備えるための画期的な対策を発表。
政府は、最大70歳までの退役将校を現役として再召集する案を積極的に検討していることを明らかにした。

AFP通信によると、スウェーデンのポール・ヨンソン国防相はこの日の記者会見で、NATO(北大西洋条約機構)加盟を機に実施した調査報告書を公開したという。ヨンソン国防相は、スウェーデンが兵力を維持するにあたって「深刻な状況に直面している」と懸念を表明した。
ヨンソン国防相は「これは、我々が現在、国防力強化のために極めて大規模な投資を行っていることを意味する」と説明。
国防人材の確保が極めて急務であることを改めて強調した形だ。
国防力強化のための大胆な改革案を提示
政府が発表した報告書には、兵力を十分に確保するための具体的な方策が盛り込まれている。
最も注目を集めた提案は、退役将校の召集可能年齢を現行の47歳から70歳に大幅に引き上げるという内容だ。これは、軍事経験を持つ人材を最大限に活用する意図を示している。
さらに、現在10年に制限されている予備役の動員義務期間を撤廃することも提案。これは、10年が経過した予備役も予備軍として編入し、常時運用体制を構築することを意味する。
国家安全保障における人的資源の重要性を再認識した結果と言えるだろう。
ヨンソン国防相は、検討のためにこの政府報告書を各界に送付する予定であり、「来年初めに議会に法案を提出することを目指している」と今後の日程を明らかにした。
ロシアの脅威に対応するスウェーデンの国防政策の変化
スウェーデンのこうした動きは、最近の欧州の安全保障環境の変化と密接に関連している。
ロシアがウクライナを侵略したことにより安全保障上の危機感が高まる中、スウェーデンは200年以上維持してきた軍事的非同盟政策を放棄するという大胆な選択をし、昨年NATOに加盟した。
当時、スウェーデン政府は国防省に対して、紛争発生時の兵力確保策に関する調査を指示しており、その成果として今回の報告書が提出された。

冷戦終結後、スウェーデンは国際連合平和維持活動に軍事力を集中させ、国防費を大幅に削減していた。
しかし、2014年のロシアによるクリミア併合を機に軍事費を徐々に増加させ始め、2017年には7年ぶりに徴兵制度を再導入するなど、国防政策に大きな転換をもたらした。
さらにスウェーデンは今年3月、今後10年間で国防費を約3,000億クローナ(約4兆5,902億87万5,611円)増額することを決定した。
この決定により、2030年までに国防費を国内総生産(GDP)の3.5%水準まで引き上げる方針だという。これは、変化する欧州の安保情勢にスウェーデンが主体的に対応し始めたことを示す象徴的な動きだ。
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