
欧州連合(EU)27か国は、ウクラインと戦争中のロシアに対する18回目の制裁案を全会一致で採択した。今回の制裁案は、ロシアの戦争資金確保を困難にするため、ロシアが販売する原油価格を強制的に引き下げることが主な内容になっている。
18日(現地時間)、EU下半期議長国のデンマークは、ベルギー・ブリュッセルで開催された外相会合で18回目の対ロシア制裁案が採択されたと発表した。EUは、ロシアが第三国に輸出する原油価格の上限を、直前3か月の平均価格より15%低い水準に自動的に引き下げることで合意した。
これに先立ち、主要7か国(G7)は2022年にロシア産原油の価格上限を1バレル当たり60ドル(約8,908円)に固定し、この価格以上での輸出を制限していた。EUはG7の枠組みで上限を60ドルから45ドル(約6,681円)に引き下げる案を模索したが、米国が同意しなかったため、独自の制裁に踏み切ることを決定した。英国、カナダなど他のG7諸国もEUの方式に追随する可能性があるとAFP通信は伝えている。
新たな制裁案により、ロシアが輸出する原油価格の上限は直前3か月の平均価格より15%低い47.6ドル(約7,067円)に下がることになる。この上限は今後6か月ごとに自動的に見直される。ロシアが上限を超える価格で原油を輸出した場合、EU系の海運会社や保険会社などのサービスを利用できなくなる。
ロシア産原油の密輸に使用される「シャドーフリート」(影の船団)に所属する船舶105隻もブラックリストに追加された。これにより制裁対象のタンカーは合計400隻以上に増加した。ロシア産天然ガスを欧州に直接輸送する海底パイプライン「ノルドストリーム1・2」の再稼働を阻止するための措置も含まれている。
EUはさらに、制裁回避を支援する中国の銀行2行と、インドにあるロシアの石油会社「ロスネフチ」の最大の製油所もブラックリストに加える予定だ。このほか、ロシアの銀行との取引禁止措置を拡大し、ロシアがウクライナ戦線で使用可能な「デュアルユース」(民間と軍事の両分野で利用可能な技術・製品)製品の輸出規制を強化する計画もある。
EUの外相に当たるカヤ・カラス外交安全保障上級代表は、SNSの「X(旧Twitter)」で、「EUはこれまでで最も強力な制裁パッケージの一つを承認した」と述べ、「ロシアが戦争を終結させるまでEUは圧力を強め続ける」と強調した。
今回の制裁案の全会一致での合意は、スロバキアが拒否権を最終的に撤回したことで、草案発表から約1か月で実現した。スロバキアは、2027年末までにロシア産化石燃料を段階的に廃止するEUの別政策から自国を免除するか、金銭的補償を行わない限り18回目の制裁案に同意しないと数週間にわたって主張していた。しかし、ドイツなどEUの主要加盟国と行政機関である欧州委員会からの圧力が強まる中、最終的に同意せざるを得なくなったとみられる。
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