
ロシアによる軍事侵攻が泥沼化する中、ウクライナ政府が新たな兵力確保策に乗り出した。ゼレンスキー大統領は29日、60歳以上の国民の軍入隊を認める法案に署名したと『AFP』が報じた。
この法案により、医療検査に合格した高齢者は、非戦闘任務に限り1年間の軍務契約を結ぶことが可能となる。国防への参加を希望する高齢者の意思を尊重すると同時に、国家主権と領土保全のために人的資源を最大限活用する狙いがあるとされている。
ウクライナでは兵力不足が深刻化しており、これまでも様々な対策を講じてきた。代表例が、18〜24歳の志願者に対し1年契約で財政的インセンティブを与える制度。また、昨年には徴兵年齢の上限を27歳から25歳に引き下げた経緯もある。
一方、アメリカのバイデン政権は、昨年に徴兵年齢を18歳に引き下げるようウクライナ側に要請したが、ウクライナ政府はこの提案を拒否。代わりに選ばれたのが、今回の高齢層を対象とする新法案だった。
戦争の長期化によって人的資源の圧迫が避けられない状況の中で、ウクライナ政府が打ち出したこの一手に国際社会の視線が集まっている。
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