
欧州連合(EU)18か国が総額1,270億ユーロ(約21兆6,541億円)規模の武器共同購入のための融資を申請したことが暫定集計で明らかになった。
欧州委員会は30日(現地時間)、加盟国向けの新たな融資制度「欧州安全保障行動(SAFE)」の申請国リストを発表した。18か国は全加盟国(27か国)の3分の2に相当する。各国の申請額は公表されていない。
ただし、ポーランドのヴワディスワフ・コシニャク=カミシュ副首相兼国防相は、SNSの「X(旧Twitter)」で450億ユーロ(約7兆6,768億円)を申請したと明かした。これを根拠に、ポリティコ(欧州版)はポーランドが単一国としては最大規模の申請をしたとみられると伝えている。
融資を申請した加盟国は、最終期限の11月30日までに詳細な事業計画書を提出する必要がある。欧州委員会はその後、審査を経て融資を実行する予定だ。SAFE制度は、EU予算を担保に武器共同購入に最大1,500億ユーロ(約25兆5,999億円)の融資を支援する。低金利で提供される融資は、最長45年以内に返済すればよい。
この制度の目的は、ウクライナ支援や各国の武器備蓄増強と同時に、米国製への依存度低下を図ることだ。武器共同購入の際、EU、ウクライナ、欧州自由貿易連合(EFTA)圏外の第三国製部品は全体の35%を超えてはならない。これは米国など第三国への依存度を下げ、「バイ・ヨーロピアン」(Buy European・欧州製品購入)を促進するための重要な条件だ。
ウクライナとEFTA加盟国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)もEU加盟国と同じ条件でSAFE共同購入に参加できる。韓国を含むEUと安全保障・防衛パートナーシップを結んでいる国も、原則としてEU加盟国とチームを組んで共同購入に参加できるが、条件は厳しい。部品35%制限などの要件を免除されるには、EUと別途協定を締結し、欧州内に生産施設を設けて財政的貢献をするなど、厳しい条件を満たす必要がある。
欧州委防衛・宇宙担当のアンドリウス・クビリウス委員は、前日に公開されたユーラクティブとのインタビューで、加盟国間の共同購入が進めば大規模契約の締結が可能になり、平均価格と比べて最大70%のコスト削減が可能だと主張した。また、「米国製を全く購入しないことは考えられないが、米国製の購入比率を10%か20%減らせば、その分の莫大な資金が欧州産業に残ることになる」と強調した。
クビリウス委員によると、現在EU全体の防衛費の40%が米国製品の購入に充てられているという。これは1年前の約60%から大幅に低下した数字だ。
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