米国のドナルド・トランプ大統領一家は、近年の米国株式市場に「MAGA(Make America Great Again)」の追い風を送り込み、投資家たちを熱狂させている。共和党員としての経歴を持つ女優が所属する企業の株価は、ある一日で20%以上も急騰する一方、トランプ大統領の長男と次男は、米製造業企業への資金調達を図るために「特別買収目的会社(SPAC)」の上場を支援し、市場の注目を集めている。

4日(現地時間)、ニューヨーク市場でアメリカンジーンズのブランド「アメリカン・イーグル」の株価は23.65%急騰し、13.28ドル(約1,954円)で取引を終えた。この株価の急騰は、トランプ大統領がSNSの「トゥルース・ソーシャル」において「登録された共和党員であるシドニー・スウィーニー氏が、現在最も『アツい』広告を打ち出した。アメリカン・イーグルの広告で、ジーンズが飛ぶように売れている。頑張れシドニー!」と投稿したことが契機となった。バズフィード・ニュースによると、シドニー・スウィーニー氏は過去1年間、フロリダ州で共和党員として登録されていたという。
アメリカン・イーグルは先月、スウィーニー氏をモデルとした新たな広告シリーズを公開した。メインコピーは「シドニー・スウィーニー氏は、素晴らしいジーン(遺伝子)を持っている」だった。ジーンズを意味する「jeans」と、遺伝子を意味する「genes」が同音である効果を狙ったこの言葉遊びは、注目を集めたが、一部の民主党陣営からは、これが白人至上主義やナチス・ドイツの優生学を連想させるとして懸念の声が挙がっている。
ノースウェスタン大学の文化・言語人類学教授、シャリーニ・シャンカール氏はCNNのインタビューで、アメリカン・イーグルは「白人至上主義的でMAGA寄りのアイデンティティを追求している」と指摘し、「現時点でブランドイメージの再構築を狙っており、非常に意図的に言葉を選んでいる」と分析した。

トランプ大統領のMAGA陣営を代表するJD・バンス米副大統領は、シドニー・スウィーニー氏を擁護し、トランプ大統領への関心を高めているとの見方もある。バンス副大統領は1日、あるポッドキャストに出演し、アメリカン・イーグルの広告コピーに関する論争に触れ、「私から民主党への政治的アドバイスは、シドニー・スウィーニー氏を魅力的だと思う人たちは皆、ナチスと呼び続けることだ」と皮肉を込めて述べた。
トランプ大統領の二人の息子も、MAGA事業を継続している。彼らは、父親の米製造業再建政策の恩恵を受ける企業への投資事業に参加している。この日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とロイター通信によると、トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏と次男エリック・トランプ氏は、米製造業者を対象としたSPACの設立を支援しているという。
SPACの「ニュー・アメリカ・アクイジションIコーポレーション(New America Acquisition I Corporation)」はこの日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に3億ドル(約441億8,701万円)規模の新規株式公開(IPO)計画を提出した。トランプ大統領の二人の息子は、この会社の顧問を務めている。

SPACとは、非上場企業を買収し、通常の厳格なIPO手続を経ずに証券市場に上場するための特殊な会社だ。ニュー・アメリカは「国内製造業の再活性化、イノベーション・エコシステムの拡大、そして重要なサプライチェーンの強化に意義ある役割を果たす」企業の買収を目指している。このアプローチは、大規模な関税政策によって米製造業を再建するというトランプ大統領の政策を彷彿とさせる。
トランプ大統領の息子たちは、ニュー・アメリカの顧問としての役割の対価として同社の株を受け取った。トランプ・ジュニア氏は200万株、エリック氏は300万株を取得しており、これらの株式は、ニュー・アメリカが買収対象企業と合併した場合、普通株式に転換可能で、その価値は数百万ドルに達する可能性があるとWSJは報じている。これまでトランプ一家は、利益相反の批判を浴びながらも、トランプ大統領の影響力を活用して多岐にわたる事業を展開してきた。
トランプ大統領は今年、自身の名前を冠したミームコインを発行しました。トランプ・ジュニア氏は、保守的な価値観を重視する事業への投資を目的とするベンチャーキャピタルのパートナーを務め、またトランプ一家の企業は「トランプ・モバイル」という独自ブランドで通信事業を展開している。
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