
ガザ地区の人質解放と停戦をめぐる交渉が停滞する中、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は同地区の「完全制圧」案を推進している。
5日(現地時間)、エルサレム・ポスト紙とAP通信は、ネタニヤフ首相が同日、イスラエル・ガラント国防相やエヤル・ザミール参謀総長ら高官と会議を開き、ガザ地区での軍事作戦について協議したが、結論には至らなかったと報じた。
首相官邸は声明で、ネタニヤフ首相が約3時間にわたり非公開の安全保障会議を主宰し、その中で参謀総長が作戦継続に向けた複数の選択肢を提示したと明らかにした。
これを受け、イスラエルの安全保障内閣は7日に会議を開き、ガザ地区の完全掌握の是非を協議する方針とされた。報道によれば、ネタニヤフ首相は、これまでの対応を見直さなければ人質の救出は困難だとして、同地区の完全掌握を主張した。
一方、ザミール参謀総長は、ガザ全域の占領は「戦略的な罠に陥る恐れがある」と警告し、人質の生命を危険にさらし、人道危機の深刻化や国際的孤立を招く恐れがあると指摘した。
ハマスは、ガザ全域占領の可能性について「イスラエルの脅しは繰り返されており無意味で、我々の決定に影響を与えることはない」と反論した。
こうした中、イスラエルの元軍幹部や情報機関の元幹部らも戦争の終結を呼びかけている。治安機関シンベト、諜報機関モサド、軍の元トップらとバラク元首相は今週、SNSに投稿した動画で、極右連立政権の一部が戦争を長引かせ、国家全体を「人質に取っている」と痛烈に批判した。
シンベトのヨラム・コーエン元長官は、ネタニヤフ首相が掲げるガザでの目標は非現実的だとし、「すべての武装勢力と武器隠匿場所を特定しつつ、全人質を救出することは不可能だ」と述べた。
エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は今回の戦争を「飢餓と虐殺、パレスチナ問題抹殺の戦争」と位置づけ、早期終結を重ねて訴えた。欧州各国およびトランプ米大統領に対し、戦闘の即時停止とガザに取り残された約200万人の市民への人道支援を強く訴えた。
エルサレム・ポスト紙は、人質交渉に関し、現行の提案は人質10人の解放と引き換えに2か月間の休戦に合意する内容であり、ハマス内部で意見が分かれていると報じた。
現在、カタールのドーハではハマス、イスラエル、仲介者による休戦および人質交渉が数か月にわたり続いているが、ここ数日でハマスの最高指導部の大半がトルコに移動し、仲介役であるカタール側との協議も次第に途絶えつつあるという。
一方、ガザ保健省によると、パレスチナ人の死者は6万1,000人を超えた。飢餓状態の住民が食料配給所で支援を受けようとした際に命を落とす事例も相次いでいる。
イスラエルの対ガザ援助調整機関(COGAT)は、現地の商人と協力し救援物資の配送改善策を講じたと明らかにした。
注目の記事