
アップルが米国国内事業への投資を、当初の5,000億ドル(約74兆円)から6,000億ドル(約88兆円)へと拡大することを明らかにし、政財界に大きなインパクトを与えている。
この追加投資は、ティム・クックCEOが6日(現地時間)、ワシントンD.C.のホワイトハウスにてドナルド・トランプ米大統領と共に発表したもの。『CNN』によれば、1,000億ドル(約15兆円)の上乗せにより、米国内の製造回帰を後押しする狙いがあるという。
トランプ大統領は「iPhoneをアメリカで生産するという究極の目標に向けた歴史的な一歩」と評価し、「米国史上最大級の投資として記録されるだろう」と誇示した。
クックCEOは新たに「アメリカ製造業プログラム(AMP)」の始動を宣言し、「米国内10社との新規および拡張的なパートナーシップが含まれており、これらの企業は半導体などの重要部品を製造している」と述べた。提携先には、サムスン電子、コーニング、ブロードコム、テキサス・インスツルメンツなど業界大手の名も並ぶ。
アップルはこれまで、中国やインドに依存してきた生産体制の見直しを進めており、背景にはトランプ政権時代の強硬な関税政策がある。同社は関税によって数十億ドル(数千億円)規模の損失を被ったとされ、今回の投資は米政府への歩み寄りとみる向きもある。
一方、米国内での製造対象は現時点では「カバーガラス」と「約190億個の半導体チップ」に限定されており、iPhone本体の国内生産までは踏み込んでいないとする見方も根強い。
トランプ大統領は「米国内に工場を建設する企業には関税を免除する」と述べ、輸入半導体に対する100%関税を改めて強調した。
『AP通信』は「今回の投資はあくまでサプライチェーンと先端製造の米国移転を意図したもので、iPhone全体の生産を国内で行うという約束ではない」と報じており、アップルがどこまで踏み込むかが注目されている。
注目の記事