
北朝鮮の平壌が「キャッシュレス都市」として評価されつつある。
在日本朝鮮人総聯合会の機関紙である「朝鮮新報」は7日、世界的に急速に普及しているスマートフォンを利用した電子決済サービスが平壌でも主流になりつつあると報じた。平壌の商業施設では、商品の代金やサービス料金を現金で支払う客の姿がほとんど見かけられなくなったという。
北朝鮮では電子決済システムを「電子財布」と呼んでいる。レストランや店舗での支払いはもちろん、公共交通機関の料金支払いや携帯電話料金のチャージにも利用可能だ。電子決済システムには「サムフン」、「チョンソン」、「マンムルサン」などがあるという。
「朝鮮新報」によると、昨年10月には韓国のインターネット銀行に相当する「ファウォン電子銀行」も開業したという。同行は平壌や地方の主要デパート、病院、薬局など公共の場に現金自動預け払い機(ATM)を設置しており、利用者が増加しているという。ATMでは、入出金、送金、残高確認に加え、電子財布へのチャージも可能だ。
ファウォン電子銀行のリ・ギョンイル課長は「朝鮮新報」に対し、「我が国で電子決済システムが一般化する中、様々な電子決済システムに対応できるようATMを開発した」と説明した。通常、現金決済の減少に伴いATMの利用率も低下するが、北朝鮮は電子決済への移行期にあるため、ATMを現金とデジタル通貨を結ぶ架け橋として活用しているとみられる。
北朝鮮における電子決済の普及には、取引追跡を通じた統制強化の意図があるのではないかとの分析もある。デジタル取引は現金と異なり、100%追跡が可能であり、これを朝鮮労働党の経済・社会統制に利用できる可能性がある。
実際、世界で最も電子決済が普及している中国では、デジタル統制力の強化を意図しているとの評価がある。中国では露天商だけでなく、物乞いをする人までもが電子決済を受け入れており、これにより統制と追跡が可能になっている。
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