
政府が米国との関税協議の中で「負担軽減措置」を確保したと主張していた内容が、実際には米国の大統領令に反映されていないことが明らかになった。これを受け、政府は強く反発し、是正を求めている。
訪米中の赤澤亮正経済再生担当相は7日(現地時間)、ハワード・ラトニック米商務長官と約3時間、スコット・ベッセント米財務長官とも約30分間それぞれ会談し、日本への関税例外措置が明記されていない大統領令を即時修正するよう求めた。
また、7月に合意した自動車および自動車部品に対する関税の15%への引き下げも、米国側が速やかに大統領令を発令し、施行すべきだと強調した。
政府は先月の日米関税交渉で、米国が既存の関税率が15%以上の品目については追加の相互関税を課さず、15%未満の品目に対しても既存関税を含め最大15%までとする構造に合意したと説明していた。関税率が高い方のみを適用することで、企業負担を抑える「負担軽減措置」だったとする。
石破茂首相も7日夜、首相官邸で記者団に対し「日米間に認識のずれはない」と述べ、「今回の合意内容に基づき相互関税が課されるよう、米国に対し大統領令の修正を強く要求している」と語った。石破首相は、赤澤再生相が米国側と改めて合意内容を確認したと付け加えた。
しかし、米連邦官報によると、6日に発行された大統領令には日本に対する例外条項が盛り込まれていなかった。このため、7日からは日本からの輸出品にも既存関税に加えて一律15%の相互関税が適用される事態となった。政府の説明とは異なり、米国側が負担軽減措置を無視した形となっている。
また、7月に両国が合意した自動車および自動車部品の関税引き下げについても、現時点で実施されていない。政府は、当該品目の関税を15%へ引き下げることで合意したと説明していたが、これを実施する大統領令は発令されておらず、発効の見通しも立っていないという。
国内では、米国が一方的に関税を適用し、日本に不利な条件を押しつけているとの批判が強まりつつある。米国が大統領選を控えて保護貿易の傾向が強まる中、政府は国内産業の保護と対米交渉との間で難しい舵取りを迫られている。
注目の記事