
ドナルド・トランプ米大統領は先週、米国の雇用市場の悪化を示す雇用報告書の発表と同時に労働統計局長を解任し、米国経済の堅調さを示す統計図表を記者団に公開した。
『AP通信』によると、トランプ大統領は7日(現地時間)、ホワイトハウスの大統領執務室で緊急記者会見を開き、雇用情勢や景気動向に言及しながら経済成果を強調した。会見には、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」上級客員研究員で2018年出版の『トランプノミクス』共著者スティーブン・ムーア氏が同席した。
ムーア氏はトランプ大統領の経済成果を強調し、ジョー・バイデン前大統領の経済実績を批判した。トランプ大統領は隣に立ち、説明に同意し補足を加えた。ムーア氏は、米労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長解任の正当性を示すデータを準備し、大統領に直接電話したと述べた。さらに、労働統計局の報告書がバイデン政権下の過去2年間に創出された雇用数を150万件過大に計上していると指摘した。
トランプ大統領は4日、SNSで労働省が発表した7月の雇用統計が操作されたと主張したが、これを裏付ける統計的証拠は示されていない。労働省の7月雇用報告書によると、雇用増加数は7万3,000人で、市場予想の約10万人を下回った。失業率は前月比0.1%ポイント上昇し4.2%となった。5月と6月の雇用増加数はそれぞれ12万5,000人、13万3,000人に下方修正された。
バイデン政権下では雇用数が下方修正されたものの、2024年と2023年にそれぞれ200万人、260万人の雇用が創出された。この期間の主要な経済課題はインフレであり、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2022年6月の消費者物価指数(CPI)は40年ぶりの高水準となった。食料品、ガソリン、住宅など必需品の価格上昇が家計を圧迫し、2024年のトランプ大統領再選に影響を与えた。
トランプ政権下では、広範な関税導入により再びインフレ圧力が強まっている。ゴールドマン・サックスは、7月の消費者物価上昇率が年率3%に達すると予測しており、4月の2.3%から上昇する見込みだ。
ムーア氏は、トランプ政権2期目就任後の最初の5カ月間で「米国世帯の実質中央値所得はすでに1,174ドル(約17万3,400円)上昇した」と主張した。この数値は米国国勢調査局の非公開データに基づくもので、独自に確認することは困難だと付け加えた。トランプ大統領は「驚くべき数字だ。私がこの数値を示しても信じられなかっただろう」と述べた。
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