
かつて順調に進んでいるように見えた米国とインドの貿易交渉が頓挫し、米国の対インド関税率は世界最高水準の50%に急騰する見通しだ。
ポリティコは9日(現地時間)、交渉が行き詰まった要因として、米国産品に課される関税率を他国が0%に引き下げたのに比べ、インドの譲歩が不十分であったと分析した。
先月までは、インドはドナルド・トランプ米大統領の最終承認が残るだけで交渉合意が目前と信じていた。トランプ大統領も先月中旬に「我々はインドと非常に近い関係にある」と発言しており、インドとの合意が間近だと見なされていた。しかし、両国の交渉は急速に行き詰まった。
トランプ政権関係者によると、インドは米国産品に対する貿易障壁を大幅に引き下げる提案をしたものの、完全撤廃には至らなかったという。
この関係者は「トランプ大統領は他国が(対米関税率)を0%またはそれに近い水準に引き下げることができた」とし、「そのため、インドの提案について交渉チームは完全に不十分だと認識した」と述べた。
また、インドのナレンドラ・モディ首相がトランプ大統領と直接会談や電話会談を行わなかったことも影響したとの見方がある。
ポリティコは、モディ首相がトランプ大統領から公然と叱責される事態を避けたため、直接対話を行わなかったと指摘した。
両国の協力民間団体「米印戦略的パートナーシップフォーラム」の会長、ムケシ・アギ氏は「強い指導者を自認するモディ首相は、他国の指導者から叱責したり、叱責を受け反撃する立場に立ちたくなかったのだ」とし、「そのため電話会談を避けた」と分析した。
アギ氏は「25年かけて築いてきた関係構築の努力が25時間で水泡に帰したかのようだ」と述べ、「我々は何としてもこの事態を食い止めなければならない。米印関係は両国にとって極めて重要だからだ」と強調した。
ただし、トランプ大統領はモディ首相を直接批判せず、常に「友人だ」と称している点に触れ、「私見だが、これは対話の窓口を開いたままにするための意図的な発言だ」と付け加えた。
6日、トランプ大統領はインドのロシア産石油輸入に対抗し、21日後にインド製品に25%の追加関税を課す大統領令に署名した。米国は7日からインドに対して25%の国別関税(相互関税)を課しており、27日からはその関税率が50%に跳ね上がる見通しである。
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