メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、米国の軍事介入の可能性について、メキシコ領内での米軍駐留を絶対に許可しないと強調した。米国のドナルド・トランプ大統領が中南米の麻薬カルテルに対する軍事作戦を密かに指示したとの報道を受けての公式声明だ。

11日(現地時間)、フィナンシャル・タイムズ(FT)などによると、シェインバウム大統領は「我々は決して主権を危険にさらすことはなく、メキシコの独立を脅かすこともない。メキシコは自由で主権を持つ独立国家だ」と述べ、メキシコ国内での米軍の活動可能性を強く否定した。
さらに「我々は米国と協力し、(貿易や移民問題などで)調整を行うが、侵攻は断固として拒否する。いかなる形の侵略も許さない」と述べ、「我々の政府は関連命令が出されるという通知を受けただけで、米軍がメキシコ領内で作戦を行う計画とは無関係だ」と強調した。カルテル対策などの安全保障問題で米国との協力は継続するが、決して従属せず、米軍の駐留は許可しないという意思を表明したのだ。
メキシコは19世紀に米国との戦争で領土の半分を失っており、主権問題に極めて敏感だ。シェインバウム大統領のこの発言は、先にニューヨーク・タイムズ(NYT)など米メディアが、トランプ大統領がペンタゴン(米国防総省)にメキシコなどで活動する麻薬カルテルを直接標的にする軍事作戦計画の準備を密かに指示したと報じたことへの対応だ。
トランプ政権は中南米の麻薬カルテルを単なる犯罪組織ではなく武装テロ組織とみなし、米国防総省と情報機関を動員して機会があれば軍事的手段も辞さない姿勢を示してきた。トランプ大統領は今年初めにもメキシコのシナロア・カルテルなど8組織をテロ組織として公式に指定し、これにより軍事力を含む米国の様々な手段を用いてこれらの組織を攻撃する法的根拠を整えた。
米国とメキシコは貿易、移民、安全保障問題をめぐって昨年から緊張と協力を繰り返している。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)により両国間のほとんどの輸出品が無関税で取引されており、経済的な結びつきも緊密に保たれている。シェインバウム政権は最近カルテル取り締まりを強化し、トランプ政権の要求に関して一定の成果を上げている。
このような状況で米軍の介入が現実のものとなれば、外交関係にも深刻な打撃は避けられないとの見方がある。シェインバウム大統領は「協力は行うが、米軍がメキシコの土地を踏むことは決してない」と述べ、米国との安全保障・貿易交渉を継続する意向を改めて示した。これに対し、一部の安全保障専門家は、米軍の直接介入ではなく、最新のドローン(無人機)など非接触型の協力の可能性により注目していると海外メディアは伝えている。
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