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2025年08月12日火曜日
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【外交孤立】ネタニヤフ首相、二国家解決を叩き潰しガザ市制圧へ 同盟国離反で四面楚歌

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザ地区内でハマスの最後の拠点とされるガザ市の占領作戦開始を正式に発表した。背景には複雑な国際情勢や国内の政治的思惑があるとみられ、この決定によりイスラエルは、国際社会が進めるパレスチナ国家承認や「二国家解決」への動きに真っ向から対立する姿勢を鮮明にした。米国を除く主要同盟国までもが距離を置く中、イスラエルの外交的孤立は一層深まっている。

ネタニヤフ首相は10日(現地時間)の記者会見で、「ガザ市の占領こそが戦争を最も早く終結させる最善の方法だ」と述べ、軍に迅速な作戦遂行を指示したと明らかにした。ガザ市はガザ地区北部に位置する最大の都市で、2023年10月にハマスがイスラエルを奇襲して戦争が勃発する前は、パレスチナ住民が最も密集していた地域だった。現在、イスラエル軍はガザ地区全域の約75%を制圧しているが、ハマスの指導部と中核戦力がガザ市に残っているとみられ、同地域からの完全排除を目指している。

引用:ニューシス
引用:ニューシス

一方、国際社会はこれとは逆の動きを見せている。オーストラリアとニュージーランドは10日、来月の国連総会でパレスチナを国家として正式承認すると発表。フランス、英国、カナダなども既に同様の方針を決定しており、米国を除く「ファイブ・アイズ(Five Eyes)」加盟4カ国すべてがパレスチナを国家承認する見通しとなっている。国連安全保障理事会の緊急会合でも、英国やフランスに加え、ロシア、中国までもがイスラエルの計画に懸念を表明。国連のミロスラフ・イェンチャ事務次長補は「さらなる惨事を引き起こす」と警告した。

国際社会の反発を強めた根本的な理由は、ネタニヤフ首相の示した「終戦5原則」が二国家解決案を真っ向から否定する内容だったためだ。5原則には、①ハマスの武装解除 ②全人質の帰還 ③ガザ地区の非武装化 ④イスラエルによる安全保障管理 ⑤ハマスやパレスチナ自治政府(PA)ではない代替民間政府の設立が含まれる。二国家解決はPAによる将来のパレスチナ国家統治を前提としているが、ネタニヤフ首相の構想ではPAが排除され、代わりにイスラエルが選定した「代替政府」を設置する計画となっている。これは、国際社会が描く和平プロセスとは正反対の道を進むことを意味する。

引用:AI Jazeera
引用:AI Jazeera

イスラエル国内でも世論は揺れている。左派は、今回の作戦が依然拘束されている人質の命を危険にさらすと懸念。一方、右派は作戦内容が不十分で、ハマスの壊滅には程遠いと批判している。実際、ネタニヤフ首相が明らかにした計画は、具体的な内容に乏しく「空虚な計画」に近いとされる。『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は、作戦開始時期や期間、過去の占領との違い、占領後の統治主体など、核心情報がことごとく欠落していると指摘した。

約2年に及ぶ戦争で、イスラエル軍は極度に疲弊している。これまでに約17万人の現役兵と46万人の予備役を動員しており、戦費や人的損失はネタニヤフ政権の大きな負担となっている。出口戦略を欠いたままガザ市を占領・統治すれば、軍事的泥沼にはまり込む恐れがある。NYTは「イスラエル軍幹部の一部は、人質の安全や兵力への負担を理由に占領計画に反対している」と報じた。

引用:The times
引用:The times

一部の専門家は、ネタニヤフ首相が明確な軍事戦略よりも政権延命を優先し、国内での政治的立場を固めるために作戦を打ち出したと分析している。NYTは中東専門コラムニストのナフム・バルニア氏の言葉を引用し、「ネタニヤフが望んでいるのは人質交渉なのか、ガザ征服なのか不明確だ」「イスラエル軍でさえ『ガザ市制圧』の意味を正確に理解していないようだ」と付け加えた。

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