
「中国では1年間を通じ、ムスリムのウイグル族と新疆の他の少数民族・宗教集団に対し、集団虐殺と反人道的犯罪が行われた」とされた。
重要な人権問題として「恣意的または違法な殺人、強制失踪、拷問や非人道的な扱い・処罰、非自発的または強制的な医療・心理的治療行為」などが挙げられた。
◆ 国務省発表の198カ国・地域人権報告書、6カ月遅れと分量半減の理由
米国が12日に公表した年次中国人権報告書の序文で、中国の人権状況を厳しく批判したことが背景とされた。今回の報告書は42ページで、近年に比べ半分以下の分量となった。
国務省が同日に発表した報告書は昨年1年間を対象としているが、発表は約6カ月遅れ、分量も半減した。国務省は「より読みやすく客観的な内容にした」と説明したが、ドナルド・トランプ米大統領政権第2期における大規模な組織改編と人員削減の影響だと米メディアは分析した。
人権報告書の草案作成と修正を担っていた国務省傘下の民主主義・人権・労働局が最も大きな人員削減の影響を受けたという。現職および元米政府関係者によれば、報告書作成過程で専門家が排除され、経験がほとんどない、あるいは全くない政治任用者が主導する事例が多かったと、『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は指摘した。
◆ 分量は減少したものの、政治的に敏感な批判は維持
香港紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)』は13日、「中国人権報告書の分量は減少したものの、最も敏感な政治的批判は維持されている」と報じた。その一例として、新疆ウイグル自治区でウイグル族やその他の民族・宗教的少数集団に対して行われた集団虐殺と人道に対する罪の指摘を挙げた。
SCMPによると、今年の各国報告書では障害、ジェンダー、政治参加に関する項目が削除され、中国の報告書も42ページに縮小された。昨年の91ページ、2023年の87ページから大幅に減少したが、恣意的または違法な殺人、強制失踪、中国国外の個人に対する国際的な弾圧、表現の自由の制限などは引き続き記載された。
特に昨年同様、新疆ウイグル自治区で行われた大規模な虐殺と人道に対する罪が強調された。これは2021年に国務省がウイグル族やその他のムスリム少数民族に対する中国の扱いを犯罪と認定したことを反映していると、SCMPは伝えた。
◆ 中国、米国の人権侵害報告書に数年来反論
国務省は香港に関する22ページの報告書も公表し、地域および中央政府が政治的自由と自治をさらに解体し、人権状況が悪化したと指摘した。SCMPによると、近年中国も米国の人種差別、富の二極化、銃や警察の暴力などを取り上げ、人権侵害に関する独自報告書を発表しているという。
国務省報道局は昨年5月、「支配的少数派が政治・経済・社会の権力を握る一方、大多数の国民は基本的権利と自由を侵害され、疎外が進んでいる」と指摘した。SCMPによれば、米国務省の人権報告書は、米中両国が11月まで関税休戦を延長すると共同発表した翌日に公表された。
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