
アフリカが豊富な鉱物資源を背景に、脱炭素時代の重要拠点として注目を集めている。
経済安全保障の観点から重要鉱物への関心が世界的に高まる中、大手鉱山企業リオ・ティントのシネイド・カウフマンCEOはアフリカの役割に注目した。
カウフマンCEOは書面インタビューで「豊富な重要鉱物を抱えるアフリカは、エネルギー転換に伴う需要を満たす上で中核的な役割を果たすだろう」との見方を示した。
アフリカは脱炭素化に不可欠なバッテリー材料であるコバルト、マンガン、銅の主要産地でもある。リオ・ティントは南アフリカで希少金属チタンを生産し、マダガスカルでも鉱山を運営中。さらにギニアでは11月に鉄鉱石鉱山の操業開始を予定している。ザンビア、ルワンダ、マラウイ、モザンビークなどでも探査を継続している。
カウフマンCEOは資源開発における協力パートナーとしての日本の存在感を強調。「日本は資源国にとって信頼できるパートナーだ」と述べ、日本の強みを生かした資源確保戦略の必要性を訴えた。豪州の鉄鉱石確保でリオ・ティントと日本企業が築いた信頼関係を基盤に、アフリカ資源国との協力関係を深めるべきだと強調した。
政府は脱炭素化のパートナーとして、コンゴ民主共和国、ザンビア、ナミビア、マダガスカル、南アフリカの5カ国を重点対象に資源確保を進めている。JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は銅鉱山が豊富なザンビアで、衛星搭載の高性能センサーを活用した地質調査を展開中だ。
カウフマンCEOは「日本の先端クリーン技術と脱炭素への積極姿勢は、アフリカの資源産業とシナジーを生み出す」と評価。「人間の安全保障や環境基準、包括的な開発を重視する日本の姿勢は、アフリカ各国の優先事項とも一致する」と分析した。
一方、リオ・ティントは2020年、豪州の鉄鉱石鉱山拡張に際し先住民遺跡を爆破し批判を浴び、CEO交代に追い込まれた経緯がある。カウフマンCEOは、日本企業が資源国との信頼を築くために、鉱山地域社会を対象に環境保護などESG(環境・社会・ガバナンス)基準に沿った取り組みを積極的に進める必要があると指摘した。
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