
台湾が中国の脅威に対抗するため、今後2年間で米国製ドローン(無人機)を約5万台導入する予定だと、香港紙のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が20日に報じた。
SCMPは台湾政府の調達ウェブサイトに掲載された入札公告を引用し、台湾国防部が2026年に1万1,270台、2027年に3万7,480台の米国製ドローンを購入する計画だと伝えた。報道によると、台湾国防部は米軍と同様、ドローンを弾薬などの消耗品として分類し、性能別に5種類のドローンを購入する予定だという。
ただし、これらのドローンは中国製部品を使用せず、中国本土との連携がないことが条件とされている。
今回台湾が導入する米国製ドローンはA・B・C・D・E型の5種類だ。A型は操縦範囲が6km、マルチローター型で垂直離着陸が可能だ。2.5kgの積載物を搭載して7分間飛行できる。台湾は来年7,500台、再来年2万6,500台を購入する。
B型はマルチローター型で垂直離着陸が可能、操縦または伝送距離は25kmに達する。10kgの積載が可能で1時間以上飛行できる。来年1,100台、再来年3,200台の購入を予定している。C型は固定翼型で、専用発射器から発射される。モジュール式で分解が容易だ。航続距離90km、滞空時間2時間で、10kgの積載が可能Dだ。来年970台、再来年2,980台が導入される。
D型は航続距離30km、滞空時間30分の小型固定翼ドローンだ。台湾は来年1,350台、再来年4,450台を購入する。E型は航続距離100km以上、滞空時間2時間30分の垂直離着陸型固定翼ドローンだ。台湾は来年と再来年にそれぞれ350台を購入する。
台湾当局は14日に放映された国防産業成果報告で、小型武器を搭載し標的を直接攻撃するドローンや、大型爆弾を目標に精密投下できるドローン、高性能偵察ドローンなど5モデルを開発中だと明らかにした。
台湾陸軍司令部のある少将は「軍がドローンをどう活用するかによって、消耗品または弾薬として扱われる」と述べた。この認識は、米軍が7月から小型・中型ドローンを消耗品武器に再分類したことに影響を受けたものだ。中国による台湾侵攻という緊急事態が発生した場合、消耗品としてのドローンを大量動員して防衛に当たる意思を示したものと分析される。
台北を拠点とする「Defense International」の編集長、チェン・グオミン氏(Chen Guoming)は「ロシア・ウクライナ戦では毎日2,000台のドローンが消耗されている」とし、「今やドローンは小銃の弾丸同様、消耗品として扱うべきだ」との見解を示した。
台湾国防部シンクタンク、国防安全研究院(INDSR)の研究員も「軍事改造した民生用ドローンは低コストで、最前線の兵士が障害物の向こうの標的を攻撃したり、1~2km先の敵の動きを探ったりするのに大いに役立つ」と述べ、少ない費用で大きな効果が得られると語った。
台湾政府は米国製ドローンの大量導入と並行し、運用要員の育成にも力を入れている。台湾政府はこれまで年間300人規模でドローン関連人材を育成してきたが、今後2年間で1,000人程度が必要になると予想している。
こうした中、台湾軍による米国製ドローン導入に対し、台湾国内では批判的な声も上がっている。台湾のある軍事専門家は「台湾軍が適切な訓練なしにドローンを備蓄するだけでは、高コスト・低効率というまた別の『防衛神話』に終わりかねない」と指摘した。
一方、台湾政府は7日に行政院で開かれた2026年度中央政府総予算全体委員会で、来年度の武器購入特別予算として6,000億台湾ドル(約2兆9,227億円)以上を計上したと報告した。中国の台湾侵攻時には陸軍と空軍はもちろん、ロケット軍も動員した大規模な物量攻勢が予想される中、米国と台湾はドローンを活用した「地獄図」戦略で対抗する見通しだ。
地獄図戦略とは、中国軍が台湾海峡を越えて奇襲攻撃を仕掛けてきた場合、米軍が台湾軍と共に数千台の空中ドローンと無人水上艦・潜水艦を動員し、文字通り地獄絵図のような過酷な対応で第一防衛線を構築するというものだ。
これに対抗し、中国も人民解放軍内の電子戦部隊を強化し、AI(人工知能)を活用した分析とモバイル妨害が可能な対ドローン戦闘部隊の創設を準備中だと報じられている。
国際社会では、習近平中国国家主席の5年間の「3期目」が終了し、中国共産党第二十一回全国代表大会(党大会)で習主席の続投が決まる2027年以前に、中国が台湾侵攻に踏み切る可能性を懸念する声が上がっている。
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