
ベトナムが南シナ海のスプラトリー諸島での人工島建設を拡大する中、中国は海上領土の保持を堅持する姿勢を示した。
海外メディア『ニューシス』によると、習近平国家主席がドナルド・トランプ米大統領との貿易戦争後に初めて訪問した東南アジア3カ国の一つにベトナムが含まれるなど、ベトナムと中国間の関係改善が進んでいるが、領土問題に関しては一切の譲歩を見せていないという。
ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)傘下にあるアジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)が今月22日に発表した報告書には、ベトナムによる、南シナ海の複数の礁での新たな人工島建設に関する計画が盛り込まれている。
中国のカク・カコン(郭嘉銨)外務省報道官は25日の記者会見で、ベトナムの拡張事業に、2021年の埋め立て計画に含まれていなかった8つの島と礁が含まれるとの質問に対し、「南沙諸島(スプラトリー諸島)は中国固有の領土だ」と断言。
カク報道官は「中国は、関係国が不法に占拠した島や礁での建設活動に断固反対し、領土主権と海洋権益を守るために必要な措置を講じる」と強調した。
報告書によると、2021年に開始した現行の埋め立てプログラムに含まれていなかった8カ所で、ベトナムが今年から人工島の新設または拡張を始めたという。
ベトナムは、アリソン礁、コリンズ礁、イースト礁、ランズダウン礁、ペトリー礁のそれぞれで新たな浚渫および埋め立て作業を展開し、これらを人工島に変貌させているとされる。
香港メディアの『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)』は25日、ベトナムの追加の人工島建設により礁や干潮時の高地21カ所に人工陸地が造成されたが、2021年には11カ所にすぎなかったと報じた。
ベトナムは、アンボイナ・ケイやグリアソン、ウェストの各礁でも拡張を再開した。この地域は、以前の浚渫作業で中規模の島が形成されていた場所だ。
AMTIによると、今年3月時点でベトナムがスプラトリー諸島に造成した人工地の面積は、中国が造成した人工島面積の約70%に達するという。
報告書は「これら8カ所の新施設に対する埋め立ては、ベトナムの人工島が将来的に中国の建設規模に匹敵、あるいはそれを上回る可能性があることを示している」と指摘した。
また、衛星写真を通して、人工島が建設された場所には軍需品倉庫や仮小屋、行政用建物などが確認された。AMTIは、これらの施設配置により、多数のサンゴ礁に戦闘機用滑走路を建設することが困難になるだろうと分析。
さらに、バーク・カナダ礁が、スプラトリー諸島におけるベトナムの既存の滑走路と並んで、建設中の唯一の新しい飛行場になる可能性が高いと予測している。
3月に発表されたCSISの報告書に対し、中国はベトナムの島建設にほとんど反応を示さなかったが、今回は外務省報道官が強硬な姿勢を示した。
中国の海上警備隊と海上民兵はフィリピンとの衝突にのみ集中し、ベトナムの活動を妨害しようとする動きは見られなかったという。
中国・フィリピン間の緊張が高まる中、ベトナムは島の建設を加速させている状況だ。
11日には、中国海軍の駆逐艦がスカボロー礁付近でフィリピンの巡視船を追跡していた際、海上警備隊の船舶と衝突する事故も発生した。
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