トランプ圧力、インドを刺激したのは誤算か 米国の強硬外交が呼び戻す「RIC連携」
トランプ外交が生んだ、ロシア・インド・中国の結束
経済・安全保障で米国に不満募らせるインド
独自外交でロシア・中国と接近するモディ首相
「米国が反植民地主義感情を刺激」との専門家分析

ドナルド・トランプ米大統領の強硬な外交姿勢を背景に、ロシア・インド・中国の3カ国による「RIC連携」が来週、本格的に復活する見通しだ。
「RIC」は3カ国の頭文字を取った造語で、米国主導の国際秩序に対抗する枠組みを指す。近年、トランプ政権から圧力を受けてきたインドのナレンドラ・モディ首相がロシア・中国への接近を強めており、歴史的な連携が現実味を帯びている。
その舞台となるのが、31日に中国・天津で開かれる上海協力機構(SCO)首脳会議だ。会議にはウラジーミル・プーチン露大統領、モディ首相、習近平中国国家主席が出席し、相互の結束を誇示するとみられる。
米外交誌『フォーリン・ポリシー』は27日(現地時間)、トランプ政権2期目の一方的な外交政策が20年ぶりにRIC連携を表面化させており、その影響力は無視できないと警告した。
1990年代に初めて登場したRICは、主に米国や西側諸国が人権問題を理由に各国を批判するなか、主権を守るための結束という性格を持っていた。しかし、インドが自由貿易や民主主義的秩序に積極的に参加するにつれ、実質的な役割は次第に薄れていった。
ところがトランプ政権2期目の発足と共に流れが変わった。ウクライナ戦争の終結を目指すトランプ大統領は、ロシアへの圧力を強めようとする一方で、インドの独自路線を押しつぶそうとした。その結果、インドはロシア・中国への接近を加速させる形となった。
インドは現在、ロシアから安価な原油を購入し巨額の利益を得ている。米国はこれを問題視し、最近では最大50%に及ぶ懲罰的関税を発動した。しかしモディ首相は譲歩せず、強硬姿勢を崩していない。
ドイツ大手紙『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』は26日、モディ首相がここ数週間でトランプ大統領からの通話要請を少なくとも4回拒否したと報じた。同紙は「これまでトランプ大統領は関税紛争で相手を打ち負かしてきたが、インドに対しては通用しなかった」と指摘している。
『フォーリン・ポリシー』(FP)への寄稿で、英国シンクタンク「チャタムハウス」のチエティグ・バズパイ上級研究員は、米国の強引な圧力がインド国内に根強く残る反植民地主義感情を刺激し、RIC連携復活の動きを後押ししていると警告した。
バズパイ氏は「反植民地主義感情が根強い国では、国家の主権や地位が脅かされる兆候に対して、世論が非常に敏感に反応する」と指摘する。
実際、最近インドとパキスタンの間で国境紛争が勃発すると、トランプ大統領はインドを「死んだ経済(dead economy)」と侮辱。さらに対ロシア原油購入を理由に50%の懲罰的関税を発動した。これらの行為は、モディ首相にとって大きな侮辱となったとみられている。
今月末に予定される上海協力機構(SCO)首脳会議で、モディ首相がロシア、中国と一気に関係を深める可能性は低いとの見方もある。ただし、RIC連携を強化する明確な動機となることは確実だという。
特にロシアは、国連安全保障理事会でパキスタンとカシミール問題をめぐる敵対的決議案が提出されるたび、自国の拒否権を行使してインドを支えてきた経緯がある。
昨年5月に発生したインドとパキスタンの軍事衝突をめぐり、トランプ米大統領は「自らの仲介で休戦が実現した」と誇示した。しかし、ナレンドラ・モディ首相は、米国がパキスタンの緊急要請に応じて一方的に介入したと受け止め、強い不満を示したという。
その後、パキスタン政府は6月に声明を発表し、「地域の緊張が最高潮に達した時、トランプ大統領は戦略的洞察力と優れた指導力を発揮した」と評価。さらに同国がトランプ氏をノーベル平和賞候補に推薦したと報じられている。
一方、ロシアと中国への接近を強めるモディ首相の姿勢には、トランプ政権への相当な怒りが感じられる。カーネギー国際平和財団のアシュリー・テリス上級研究員は『ブルームバーグ通信』の取材に対し、「トランプは本当に偉大な平和の仲介者だ。インドと中国の和解を促進した功績はすべて彼のものだ」と皮肉を込めて批判。トランプ氏の対インド強硬姿勢が、結果的に大きな国際情勢の変化をもたらしているとの見方を示した。
来週、中国で開かれる上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせ、RICグループは過去最大規模の結束を誇示する見通しだ。専門家の間では、この枠組みが今後3年間で、ウクライナ戦争の出口戦略、朝鮮半島情勢(南北関係や米朝対話)、さらにはインド太平洋の安全保障秩序に至るまで、世界的な変動を引き起こす可能性があると指摘されている。
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