欧州3カ国、イランへの核制裁再開へ 「西側との関係は最悪に」

英国、フランス、ドイツの欧州3カ国(E3)は、イランに対する制裁復活のため、核合意に基づく「スナップバック」条項の発動を決定した。
『フィナンシャル・タイムズ』は27日(現地時間)、E3が28日にイランへの制裁再開計画を国連に通告する見込みだと報じた。
E3は、イランが2015年に締結された核合意・JCPOA(包括的共同作業計画)に重大な違反を犯したとして、スナップバックを発動するとしている。スナップバックとは、JCPOAの約束が履行されない場合に、自動的に制裁を復活させる措置である。
なお、スナップバックの根拠となる国連安全保障理事会決議第2231号は、今年10月18日に発効から10年を迎え失効するが、E3はこれを延長するための新たな決議採択を検討している。
一方、ドナルド・トランプ米大統領は2018年にJCPOAを一方的に破棄しており、イランは当時の米国の行動に同調したとして、E3にはスナップバックを発動する権限がないと主張している。
スナップバックが発動されると、30日後にイランに対して通常兵器の輸出入禁止、弾道ミサイル開発の制限、資産凍結、ビザ発給禁止など、広範な制裁が復活する。制裁が再開された場合、解除には国連安全保障理事会の常任理事国5カ国全員の同意が必要となる。
先月、E3(英国・フランス・ドイツ)の外相らは、イランが8月末までに米国との協議や国際原子力機関(IAEA)との協力を再開せず、保有する400kgの高濃縮ウランに関する情報を提供しない場合、スナップバックを発動すると通告していた。
イランとE3は26日に、スイス・ジュネーブで核協議後の会談を再開したものの、合意には至らなかった。イランは一部でIAEAとの協力を認めており、ラファエル・グロッシーIAEA事務局長は前日、査察団がイランのブーシェフル原子力発電所に到着したと発表した。
しかし、昨年6月にイスラエルと米国による空爆で被害を受けた核濃縮施設の査察を許可するかどうかは不透明である。空爆後、イランはIAEA査察団を一時追放し、再入国を厳しく制限する法案を可決していた。
英紙『ガーディアン』は、この決定がイランと西側諸国との関係に最悪の危機をもたらす可能性があると分析している。また、イラン外務省も、欧州が制裁を復活させた場合には断固たる対応を取ると警告した。
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