ウクライナ戦争の停戦をめぐり、米国と欧州の対立が鮮明になりつつある。15日に米アラスカで開かれた米露首脳会談を契機に、停戦に向けた転機となることが期待されたロシア・ウクライナ首脳会談の開催協議は進展を見せていない。こうした中、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「ウラジーミル・プーチン大統領がドナルド・トランプ米大統領を手玉に取った」と発言した。一方、米政府は停戦交渉の難航について欧州側に責任があるとの見方を示したと報じられている。

マクロン大統領は29日(現地時間)、フランス南部トゥーロンでフリードリヒ・メルツ独首相と共同記者会見を開き、プーチン大統領が9月1日までにウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談に応じなければ「プーチン大統領がトランプ大統領を翻弄していたことを改めて示すことになる」と強調した。その上で「ロシアを交渉の場に引き出すための第1次・第2次制裁を実行すべきだ。米国も参加しなければならない」と訴えた。メルツ首相も「プーチン大統領がゼレンスキー大統領との会談を望んでいないのは驚くことではない。ロシア大統領の戦略の一部だからだ」と指摘した。
マクロン大統領が9月1日を期限として言及したのは、8月18日に米ホワイトハウスで行われた会談で、トランプ大統領がマクロン大統領やメルツ首相ら欧州首脳、ゼレンスキー大統領を前に「2週間以内にロシア・ウクライナ首脳会談が開かれる可能性がある」と述べたことを踏まえたものとみられる。
しかし、トランプ大統領は30日に公開された保守系メディア「デイリー・コーラー」とのインタビューで「首脳会談が開かれるかは分からない」と述べ、後退した姿勢を見せた。ホワイトハウスのスティーブン・ミラー副補佐官はマクロン大統領の発言に対し「平和の大義のためにトランプ大統領ほど多くのことをした大統領はいない」と反論した。
米メディア「アクシオス」によると、トランプ政権は和平協議の停滞について欧州に責任があるとみているという。ホワイトハウス高官は「欧州が戦争を引き延ばし、不合理な期待を抱かせながら、米国に費用を負担させようとしている。もし欧州が戦争を拡大させたいのなら、それは彼らの選択だ。しかし勝利が目前にある中で、絶望的に敗北を招くことになる」と語ったとされる。さらに「トランプ大統領は、ロシアとウクライナ双方が柔軟な姿勢を示すまで外交的仲介を一時停止することを真剣に検討している」と伝えた。

一方、ロシアのウクライナに対する攻勢は激しさを増している。AFP通信によれば、ロシア軍は30日未明、ウクライナ中部や南東部の複数都市に大規模な空爆を実施した。ロシア軍参謀総長ワレリー・ゲラシモフ氏は「ほぼ全戦線にわたり攻勢を続けている。戦略的主導権は完全にロシア軍にある」と主張した。そのうえで、ルハンスク州の99.7%、ドネツク州の79%、ザポリッジャ州の74%、ヘルソン州の76%を掌握し、自国領に編入したと述べたほか、中部ドニプロペトロウシク州にも侵攻していると付け加えた。
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