
米国最高裁判所が再び行政部の主要政策の行方を左右する立場に立たされた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は31日(現地時間)、最高裁の判断次第でドナルド・トランプ米大統領の相互関税政策の運命が決まると報じた。
先日、ワシントンDCの連邦巡回区控訴裁判所は29日、相互関税賦課の根拠とされた国際緊急経済権限法(IEEPA)が行政命令による関税賦課権限を含まないとの判断を下した。大統領権限に関しては、ジョー・バイデン前政権下の2022年に最高裁が確立した「優先課題」という法理がある。
当時、最高裁のジョン・ロバーツ前長官は「連邦議会が明確に権限を委任しない限り、大統領が重大な経済・政治的意義を持つ政策を単独で実施することはできない」と述べ、行政命令の限界を明確にした。これは、大統領が立法府の機能を侵害するような広範な政策を展開することは憲法違反だという趣旨だ。
その結果、バラク・オバマ前大統領が推進した温室効果ガス(GHG)排出量を規制する政策は頓挫した。また、学生ローン債務免除、職場での感染対策、立ち退きの猶予など、民主党政権が導入した様々な政策も破棄された。
トランプ大統領の相互関税政策にも「優先課題」が適用される可能性がある。専門家らは、今回の案件で最高裁がトランプ政権に対して批判的な見方を示す可能性があると指摘している。トランプ大統領が関税賦課の根拠としたIEEPAは、麻薬密輸や貿易不均衡などの慢性的な問題に対処するため、大統領に関税調整の権限を与えていないという。
メリーランド大学ロースクールのマーク・グレイバー教授は「議会が明確な立場を示しているにもかかわらず、トランプ大統領がそれを無視するなら、最高裁が歯止めをかけるだろう」と説明した。
一方で、大統領の関税賦課権という具体的な問題については先例がないため、最高裁がトランプ政権の主張を支持する可能性もあるとの見方もある。実際、相互関税を違法とした判決を下したワシントンDCの連邦巡回区控訴裁判所でも、「IEEPAは多様な規制手段を用いることを意図したもので、関税を使用できないとする解釈には説得力がない」という少数意見が出された。
この少数意見について、ホワイトハウスの通商顧問、ピーター・ナバロ氏は「最高裁が我々の主張を支持する可能性が高いことを示す明確な指針だ」と期待を表明した。9人の定員を持つ最高裁の構成が6対3で保守派判事が優勢であることが、上告審の結果に影響を与える可能性があるとの分析も出ている。
トランプ政権発足後、最高裁は連邦公務員の解雇、不法滞在者の強制送還、連邦資金支援の停止などの措置について、リベラル派判事の反対にもかかわらず保守的な判断を下してきた。関税に関する上告審の口頭弁論は、今年の冬か来年の早春に始まると予想される。最高裁の決定は、口頭弁論開始後の数週間から数か月後に出される可能性がある。上告審が終わるまで、トランプ政権の相互関税は有効である。
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