米控訴裁が「相互関税」に制動 トランプ大統領「関税がなければ米国は破綻していた」
USTR代表「裁判所の判断に関係なく交渉は継続」
トランプ政権、上告へ 連邦最高裁の最終判断を待つ
トランプ大統領「関税がなければ米国は完全に崩壊していた」

ドナルド・トランプ米大統領が4月に導入した「相互関税」は、米連邦控訴裁判所によって法的根拠がないと判断された。それにもかかわらず、アメリカ政府は各国との貿易交渉を継続していると強調している。
米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表は8月31日(現地時間)、フォックス・ニュースのインタビューで「裁判所が何と判断しても、われわれは交渉を続けている」と語り、直前にも特定国の貿易担当大臣と通話したことを明かした。
控訴裁は29日、法が大統領に与える権限の範囲に関税は含まれないとし、トランプ大統領の関税政策にブレーキをかけた。ただし、この判決の効力は10月14日まで発生せず、政権が上告すれば、合法性を巡る最終判断は連邦最高裁に委ねられる。
控訴裁より前の5月には、米国際貿易裁判所(CIT)もトランプ大統領が4月2日の「解放の日(Liberation Day)」行事で事実上すべての貿易相手国に相互関税を課した行政命令を「違法」と判断していた。トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に関税を課したのは「前例のない権限乱用」だとされた。
IEEPAは国家非常事態を宣言した際、大統領が議会の承認なしに措置を取れる制度だが、関税は含まないとされている。控訴裁判決直後、トランプ大統領は最高裁への上告方針を表明し、裁判所を「政治的偏向」と批判した。また自身のSNSでは「関税などで得た数兆ドルがなければ、米国は完全に崩壊し軍事力も消滅していただろう」と主張した。
一方、トランプ大統領は昨年4月初旬、各国に異なる「相互関税率」を一方的に課した後、個別に貿易交渉を進めてきた。韓国は約3,500億ドル(約51兆4,500億円)の対米投資と1,000億ドル(約14兆7,000億円)相当の米国産エネルギー購入を条件に、関税率を25%から15%に引き下げることで米側と合意している。
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