反政府デモ拡大、少なくとも4人死亡
事態悪化でプラボウォ大統領、中国訪問を中止

インドネシアで国会議員への高額住宅手当をめぐる抗議デモが全国に拡大し、少なくとも4人が死亡する事態となっている。南スラウェシ州マカッサルでは29日、デモ隊が地方議会庁舎に放火し、建物が炎上した。
デモは、28日に首都ジャカルタで配達員の若者が警察の装甲車にひかれて死亡した事件をきっかけに全国へ拡大し、ロイター通信などによると、インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は31日、ジャカルタの大統領宮殿で会見し、「国会指導部が議員の住宅手当や海外出張などの特権を撤回する方針を示した」と発表した。プラボウォ大統領は3日に予定されていた北京での軍事パレード出席も取りやめた。
ジャカルタでは数百人のデモ隊が警察機動隊本部に押し寄せ、一部が建物に侵入しようとした。参加者らは、下院議員の住宅手当増額に抗議してデモを行っていた21歳のオートバイ配達員アパン・クルニアワン氏が、装甲車にひかれて死亡したことを受け、警察庁長官の解任を要求した。目撃者によれば、装甲車はデモ隊に突進し、クルニアワン氏をはねた後も止まらず走り去ったという。デモの一部は市中心部の警察本部近くにある5階建てビルに火を放ち、複数の人が一時閉じ込められる事態となった。
デモはスラバヤ、ジョグジャカルタ、バンドン、パプアなど各地に広がり、スラバヤではデモ隊が知事公邸を襲撃しようとしたため、治安部隊が催涙ガスや放水で対抗した。マカッサルでは議会庁舎の火災で3人が死亡、5人が負傷した。
今回のデモの発端は、下院議員580人が昨年9月以降、1人当たり月5,000万ルピア(約44万6,043円)の住宅手当を受け取っていたことが最近の報道で明らかになったことにある。これはジャカルタの最低賃金のおよそ10倍に相当し、市民の強い反発を招いた。
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