EU非公式外相会議で全会一致の方針示す
凍結資産活用方法は意見対立で結論出ず
ホワイトハウス、和平交渉難航の責任を欧州に転嫁

欧州連合(EU)は、ロシアがウクライナ侵攻による戦争賠償金を支払わない場合、EU域内で凍結している2,100億ユーロ(約36兆1,923億5,500万円)の資産返還を認めない方針を決定した。一方で、凍結資産の活用方法については加盟国間で意見が分かれたままだ。
30日(現地時間)、「ロイター通信」などによると、EU加盟国はデンマークの首都コペンハーゲンで開かれた非公式外相会議で、この問題を協議した。会議後の記者会見でカヤ・カッラス欧州連合外務・安全保障政策上級代表は「ロシアが侵攻による戦争被害をウクライナに賠償しない限り、凍結資産の返還はあり得ないという点で加盟国の意見が一致した」と述べ、「戦争による損害賠償は原因を作ったロシアが負うべきで、我々の納税者が負担すべきではない」と強調した。
ロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月以降、EUが凍結したロシア中央銀行の資産は2,100億ユーロに上り、その大半はベルギーの国際決済機関ユーロクリアに預けられている。しかし、ロシアが実際に賠償に応じる可能性は低いとみられる。カッラス代表が「ロシアが賠償しない可能性が高いため、戦争終結までに資産を活用できる使い道の計画が必要だ」と述べたのもこのためだ。
資産活用方法で加盟国間に溝
EU加盟国はロシアの凍結資産の活用方法について議論したが、意見の隔たりは埋まらなかった。ポーランドやバルト三国(エストニア、リトアニア、ラトビア)など一部加盟国は、凍結資産の元本を没収し、即座にウクライナ支援に充てるべきだと主張している。ウクライナが来年だけで数百億ユーロ規模の財政不足に直面すると予想されることから、この要求はさらに強まっていると「ロイター通信」は伝えている。
一方、EUの主導国であるドイツとフランスは、法的問題やユーロ安を懸念し、この案に強く反対している。凍結資産の大部分を管理するベルギーも否定的な立場だ。妥協案として元本全額を高リスク商品に投資する案も出たが、元本損失のリスクが指摘され、真剣な検討には至らなかった。ジョー・バイデン政権時代、アメリカを含む主要7カ国(G7)とEUは、凍結資産の元本には手をつけず、利子収益のみを担保に総額450億ユーロ(約7兆7,556億3,980万円)をウクライナへの軍事支援資金として活用することで合意していた。
「ウクライナ終戦交渉の難航は欧州の責任」
一方、ドナルド・トランプ政権は、ウクライナ戦争の和平交渉が難航している原因はロシアのウラジーミル・プーチン大統領ではなく欧州にあるとの見方を示していると、アメリカメディア「アクシオス」が同日報じた。欧州の指導者たちは表向きはトランプ大統領の終戦努力を支持しながら、裏では戦争を煽っているというのが現在のホワイトハウスの見解だという。
同メディアは、その理由として、欧州がウクライナに事実上不可能な領土譲歩をロシアに要求するよう促し、和平交渉を困難にしていること、また十分な犠牲を払わずに戦争継続のコストを米国に転嫁しようとしていることを挙げた。
一方、ロシアのワレリー・ゲラシモフ軍参謀総長は同日の演説で、「ロシア軍はウクライナの全戦線で休むことなく攻勢を続けている」と強調し、「現時点での戦略的主導権は完全にロシア軍にある」と述べた。彼は、今年3月以降、ロシア軍がウクライナで3,500平方キロメートル以上の領域と13の村を制圧したと発表した。
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