
インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は、国会議員特権に反対する大規模デモが激化する中、議員の住宅手当廃止を含む妥協案を提示した。
31日(現地時間)、インドネシアのコンパス紙などによると、大統領は大統領官邸で政党指導者と会談後、記者会見で方針を明らかにした。下院指導部が住宅手当や海外出張を含む複数の政策の撤回を検討していると述べた。
一方で「一部の抗議行動が違法行為や反逆、テロに発展している」と警告し、警察と軍に対し、器物損壊や略奪などの暴力行為に断固とした措置を取るよう指示した。
インドネシアでは、2024年9月以降、下院議員580人が月額5,000万ルピア(約44万8,353円)の住宅手当を受給していることが明らかになり、約1週間にわたり大規模な抗議デモが続いている。
デモ参加者は、多くの国民が経済的困難に直面する中で、議員が給与に加えて高額な住宅手当を受給していると批判し、廃止を求めている。住宅手当はジャカルタの最低賃金の約10倍に相当する。
さらに、28日にバイク配達員アファン・クルニアワン氏(21歳)がジャカルタの国会議事堂前で警察の装甲車に轢かれて死亡した事件を受け、警察庁長官の解任要求を含む抗議活動が一層激化した。目撃者によれば、警察機動隊の装甲車がデモ隊に突進し、アファン氏を轢いた後も停止しなかったという。
スラウェシ島マカッサルでは、デモ隊が地方議会の建物に火を放つ事件もあった。リスト・シジット・プラボウォ警察庁長官は30日、各地でデモが暴動に拡大し、建物や公共施設への放火に加え、警察本部への攻撃もあったと述べた。週末には、財務相や国民民主党高官の自宅が襲撃され、貴重品が略奪される事態も報告された。
事態の深刻化を受け、プラボウォ大統領は中国訪問を中止し、上海協力機構(SCO)首脳会議や戦勝80周年記念行事への出席も見送ることを決めた。
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