中国戦勝節で反トランプ勢力が結集
「中露分断」を狙うアメリカの戦略は不発に
日本は「対米牽制の多国間外交の場」と捉える
北朝鮮・中国・ロシアの実質的な協力には否定的な見方

中国は3日に開催される「戦勝節」行事を利用し、反トランプ勢力を結集して、その力を誇示、世界秩序の単なる参加者ではなく設計者としての立場を示そうとしている。アメリカは公式な見解を表明していないが、トランプ政権はロシアと中国を分断しようと試みたものの、むしろ両国は徐々に接近している状況だ。
30日(現地時間)の「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、トランプ政権の関係者らは、ウクライナと欧州の安全保障を犠牲にしてでもプーチンとの接近が妥当と判断したという。これは、ロシアを取り込める勢力とし、中国をアメリカに対抗する挑戦者とみなして両国を分断しようとする「逆キッシンジャー戦略」である。
ドナルド・トランプ大統領は、アラスカで行われた会談後、ロシアと中国は本質的に天敵関係にあるとし、ロシアは広大な領土を、中国は膨大な人口を有するために、中国はロシアの土地を必要としていると述べた。しかし、ウクライナ戦争以降、両国は急速に接近している。カーネギー・ロシア・ユーラシアセンターのアレクサンダー・ガブエフ所長は、「トランプ政権第1期には中国が米露関係の改善を懸念していたが、今はロシアが中国に大きく依存するようになり、その懸念は薄れた」と説明している。
機能しないトランプの対中牽制戦略
静観するアメリカ政権とは対照的に、アメリカ議会は活発に動いている。上院軍事委員会所属の議員らが29日に台湾を訪問した。ロジャー・ウィッカー軍事委員長は台北松山空港において、「台湾の同盟国とともに世界平和を促進するため、ロナルド・レーガン大統領が強調した『力による平和』について議論するために来た」と述べた。また、数十年にわたる米台パートナーシップと安全保障協定を再確認する意向を示した。先に「フィナンシャル・タイムズ(FT)」は、この訪問が台湾の民主主義と安全保障に対するアメリカのコミットメントを再確認し、中国の「アメリカは信頼できないパートナー」という主張に反論する効果もあると指摘している。
一方、国内メディアは、北朝鮮・中国・ロシアの首脳が一堂に会するこの閲兵式を「象徴的な結束」と位置づけつつも、各国の利害関係による構造的な限界が浮き彫りになっていると分析している。
31日の「日本経済新聞(日経)」は、習近平主席の招待により、この日からロシアのウラジーミル・プーチン大統領など各国首脳が集まっていると報じた。日経は今回の行事を、保護主義に傾くアメリカを牽制するための多国間外交の舞台と評価している。中国は新興国の結束を前面に押し出し、トランプ政権との交渉において有利な条件を引き出そうとする意図を持っているという。
同日、天津で開幕した上海協力機構(SCO)首脳会議には、インドのナレンドラ・モディ首相も出席した。日経は、習近平主席がモディ首相、プーチン大統領、そして金正恩朝鮮労働党総書記とそれぞれ会談し、対米牽制外交を本格化させると伝えている。
国内メディア、多国間主義外交の舞台と評価
「読売新聞」は、金正恩総書記の北京訪問を、北朝鮮指導者としては異例の多国間外交の舞台への登場だと表現した。特に、習近平主席を中心に左右にプーチン大統領と金正恩総書記が並ぶ観閲台の配置に注目し、3首脳が並ぶ場面が米日を含む西側諸国に強いメッセージを送るだろうと述べた。NHKも2万人以上が参加する大規模なリハーサルの模様を伝え、閲兵式で新型ミサイルや無人機などの戦略兵器が公開される可能性に触れている。
「産経新聞」は、今回の閲兵式を単なる記念行事を超えた対外的な誇示、すなわち対日牽制と見なしている。中国が台湾海峡および東シナ海での軍事的優位を強調しようとしている意図が明白であるとの解釈だ。「朝日新聞」は、プーチン大統領と金正恩総書記の首脳会談が別途開催される可能性に言及した。「毎日新聞」は、中国がロシアや北朝鮮との緊密な関係を誇示している一方、制裁や経済リスクを考慮すれば過度な結束は負担となると強調している。北朝鮮・中国・ロシアの結束は軍事的・外交的に大きな象徴性を持つが、各国が結局はトランプ大統領との二国間協議を重視するため、実質的な協力に結びつくのは困難だという見方である。
国内メディアは、今回の北朝鮮・中国・ロシア首脳の集結が日本に直接的な影響を及ぼすとみている。台湾海峡や東シナ海で中国の軍事的圧力が露骨になれば、自衛隊および日米同盟の抑止態勢強化に関する議論が避けられないと考えられる。政府は今回の行事の動向を注視しつつ、日米連携を強化し、対中牽制と対北朝鮮制裁の協調を継続する可能性が高い。
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