ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナの欧州連合(EU)加盟に反対はしないと表明した。一方で、軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)加盟は断じて認めないという従来の立場を再確認した。これは、ウクライナ戦争の解決策を巡り、米国のドナルド・トランプ大統領との間で微妙な駆け引きが続く中での発言である。同日、トランプ大統領はプーチン大統領に対し「非常に失望した」と批判し、その度合いを強めた。
プーチン大統領は2日(現地時間)、中国・天津で開催された上海協力機構(SCO)首脳会議に出席中、スロバキアのロベルト・フィツォ首相と会談し、「ウクライナのEU加盟に反対したことはない」と述べた。SCOは中国とロシアが主導するユーラシアの安全保障協力体である。

プーチン大統領がウクライナのEU加盟容認の可能性を示唆したのは異例である。ロシアはこれまで、ウクライナが西側陣営に加わること自体をタブー視してきた。しかしながら、彼は「NATO加盟は別問題だ」とし、「我々の立場は周知の通り、容認できない」と線を引いた。なお、NATOは北米と欧州諸国による軍事同盟であり、ロシアにとっては自国の安全保障に直接的な脅威になるとして、ウクライナのNATO加盟に強く反対してきた。
プーチン大統領はまた、トランプ政権との間で戦争終結に向けた「相互理解」に達したとも主張した。彼は「今や我々はこのような相互理解を目の当たりにしており、これは注目に値する」と述べ、「この建設的な対話が続くことを望む」と語った。これは、8月に米アラスカで行われた米ロ首脳会談以降、両国間で一定の協調があったことを示唆するものだ。

一方、トランプ大統領の認識は全く異なっていた。同日、ラジオ番組「スコット・ジェニングス・ラジオショー」のインタビューで、トランプ大統領はプーチン大統領に対し「非常に失望した(very disappointed)」と痛烈に批判した。トランプ大統領は「人々の生活を支援するために何らかの措置を講じるだろう」と述べ、追加制裁の可能性も示唆した。これは、アラスカ会談以降もロシアがウクライナ和平交渉に消極的な態度を示していることへの不満の表れである。
現在、両国はウクライナ戦争終結の解決策を巡り、同床異夢の様相を呈している。トランプ大統領は、プーチン大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との二者会談に続き、自身も加えた三者会談を開いて解決策を探ろうと提案した。一方、ロシアは具体的な議題が準備されていないことを理由に、会談自体に消極的な姿勢を示している。
このような状況下、プーチン大統領はSCO首脳会議を通じて外交的孤立から脱却したことを強調した。かつて彼を遠ざけていたインドのナレンドラ・モディ首相は、プーチン大統領と握手を交わし、笑顔で親交を示した。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「トランプ大統領がプーチン大統領の孤立を終わらせる一翼を担った」とし、「トランプ大統領の予測不能な外交政策が、プーチン大統領と中国の習近平国家主席に安定したパートナーという印象を与える機会を生み出した」と分析した。
専門家らは、プーチン大統領がウクライナのEU加盟の可能性を示す融和的なジェスチャーを見せつつも、NATO加盟拒否という核心的原則を堅持し、米国との力比べを続ける戦略を選択したと見ている。
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