米議会、予算から人事まで案件ごとに激突…政府「シャットダウン」の現実味が増す

8月の休会を終えた米連邦議会が2日(現地時間)に再開し、これまで静かだった米政界に再び「嵐」が吹き荒れる見通しである。トランプ政権下では政府機能の一部停止(シャットダウン)危機が迫る一方、大統領を窮地に追い込んだ「エプスタイン・ファイル」の公開を巡る動きや、連邦準備制度(FRB)など主要機関トップの人事公聴会も相次ぎ、与野党の対立が激化するとみられる。
政治専門メディア「ポリティコ」は1日、議会再開に伴い「数多くの政治的嵐が訪れる」と指摘した。最大の争点は10月1日に迫るシャットダウンである。会計年度末(9月30日)までに予算合意が成立しなければ、連邦政府の一部機能が停止する。民主党はトランプ政権による一方的な予算削減を強く批判しており、対決姿勢を鮮明にしていることから、シャットダウンが現実化する可能性は高まっている。
一方、「エプスタイン・ファイル」を巡る議会の動きも本格化する。未成年者への性的搾取容疑で逮捕され、収監中に死亡したジェフリー・エプスタインに関する捜査記録の公開が焦点となっている。トランプ政権は当初の約束を翻し公開を見送ったが、与党支持層「MAGA」からも強い反発が出ている。下院では共和党のトーマス・マッシー議員と民主党のロー・カーナ議員が司法省に記録公開を求める超党派請願を提出する予定であり、必要票を確保しているとの見方もある。さらに、被害者10名余りが今週記者会見を予定しており、議論の再燃は必至である。
また、今週は人事公聴会も相次ぐ。FRB新理事に指名されたスティーブン・マイランCEA委員長の公聴会は4日に予定されている。トランプ大統領がリサ・クックFRB理事の解任を試みるなど、FRBの独立性を巡って緊張が高まる中での審議となる。加えて、疾病対策予防センター(CDC)の新トップ候補ジム・オニール氏、労働統計局(BLS)長官候補E・J・アンソニー氏に対する公聴会も控えている。
さらに注目を集めるのが、トランプ大統領によるイリノイ州シカゴへの軍投入計画である。米CBSによれば、政権は5日に部隊派遣を予定しているとされ、民主党知事や市長の反発も強いことから、連邦政府の介入を巡って激しい論争が予想される。
議会は予算、司法、人事、治安政策といった複数の火種を同時に抱えながら再始動し、米国政治の緊張は一段と高まりを見せている。
コメント0