
イスラエルが核兵器開発に利用してきた核施設に、新たな原子炉または核兵器の組立施設を建設中との分析が浮上した。6月にイランの核施設を爆撃したイスラエルが、自国の核兵器生産体制をさらに高度化しているとみられる。
2日(現地時間)、AP通信は専門家7名による衛星写真分析の結果をもとに、イスラエル政府がネゲブ核研究センター内で核兵器関連の新施設を建設中だと報じた。米商業衛星企業「プラネット・ラボス(PBC)」が7月5日に撮影した写真では、センター敷地南端に長方形の高層建物と4台のクレーンが確認された。
全ての専門家が、新施設が原子炉に接近していることから核兵器プログラムと関連すると指摘した。なお、ネゲブ核研究センターには原子力発電所が存在しない。

専門家3名は、建設場所、規模、高さから新たな重水炉である可能性が高いと見ている。重水炉は重水を冷却材とする原子炉で、核兵器の核心物質であるプルトニウムを生産することができる。ジェームズ・マーティン不拡散研究センターのジェフリー・ルイス教授は「施設の高さから、計画中の原子炉の炉心もかなり高いと推測される。原子炉以外の可能性は考えにくい」と述べた。
残る4名の専門家は、重水炉の可能性を認めつつ、核兵器組立施設の可能性も指摘している。ただし、工事がまだ初期段階であるため、断定は控えている。米シンクタンク・軍備管理協会のダリル・キンボール事務局長は「重水炉であれば、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出し、さらに核兵器製造を目指すものだ。そうでなければ核兵器能力維持のための施設である可能性がある」と述べた。
また、毎年5%ずつ崩壊する三重水素の濃度を維持するための施設という見方もある。三重水素は核弾頭の爆発威力を高めるために使用される。憂慮する科学者同盟(UCS)の原子力安全性部長であるエドウィン・ライマン氏は「イスラエルが新たな原子炉を建設するとしても、必ずしもプルトニウム保有量の増加を意味するわけではない。三重水素生産施設の可能性もある」と指摘した。
イスラエルおよび米ホワイトハウスは、AP通信からの問い合わせに対しコメントを控えた。これまで、イスラエルは核兵器保有について公式に認めても否定もしない立場を取っている。AP通信は「6月、イスラエルと米国が核兵器開発を懸念してイランの核施設を爆撃した直後であることから、今回の事態は国際的な批判を招く可能性がある」と指摘した。

イスラエルは、第一次中東戦争 (1948~1949年)および第二次中東戦争(1956年)後の1950年代後半、フランスの支援を受け、南部ネゲブ砂漠ディモナに核施設を建設した。2018年ノーベル平和賞受賞者であるシモン・ペレス(1923~2016)元首相の名を冠している。イスラエルは、インド、パキスタン、南スーダンとともに、核拡散防止条約(NPT)に加盟していない世界の4か国のひとつである。
したがって、国際原子力機関(IAEA)の査察を受けておらず、正確な核兵器保有数は外部に知られていない。専門家らは核兵器数を80個から400個まで幅広く推定している。2022年、原子力科学者会報(BAS)は核弾頭数を90個と推計している。中東(西南アジア)地域では、唯一の核保有国である。
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