
サンフランシスコ北部に位置するカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所のチャールズ・ブライヤー判事は2日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領が6月にロサンゼルス(LA)へカリフォルニア州兵と海兵隊を配備した行為が、民兵団法(ポッセ・コミタトゥス法)に違反すると判断した。同法は、米国内での法執行活動に軍隊を使用することを禁じている。
ブライヤー判事は、6月の州兵投入直後にギャビン・ニューサム州知事が申し立てた執行停止処分を第一審で「違法」と認定していたが、その後の控訴審で「正当な措置」と覆った経緯がある。当時、トランプ大統領は州兵約4,000人と海兵隊員700人を派遣し、実際の抗議デモ鎮圧よりも連邦政府の資産や要員の保護を名目に、捜索、交通・群衆統制を担当させた。抗議デモは比較的早期に解散し、現在は州兵約300人が現地で活動を続けている。
今回の審理では、派遣そのものの違法性が争点となった。裁判所は「抗議デモは存在し、一部で暴力行為もあったが、軍投入の条件である反乱は発生せず、民間の法執行機関で十分対応可能だった」と判断した。
トランプ政権は「連邦政府の資産・人員・機能を守る憲法上の権限がある」と主張したが、裁判所は過去の判例を踏まえ「議会はその権限を大統領に付与していない」と退けた。さらに、「駐留軍に交通遮断線の設置や防護境界の維持、群衆統制支援を指示したのは誤りであり、LAで軍事的存在感を確立する目的で州兵と海兵隊を数か月にわたり配備したことは、民兵団法の重大な違反に当たる」と指摘した。ただし、ブライヤー判事はLAに残る部隊の即時撤収は命じず、控訴期間を確保するため判決効力を今月12日まで猶予した。
今回の判決はカリフォルニア州に配備されている、または今後配備される州兵・軍部隊にのみ適用され、全国的な効力は持たない。したがって、ワシントンD.C.、シカゴ、ニューヨークなどの案件は別途審理される見通しだ。トランプ政権が控訴することは確実視され、今後判決が覆る可能性も残されている。
一方、トランプ大統領は今回の判決を受けても強硬姿勢を崩していない。取材陣から「シカゴに州兵投入を決めたのか」と問われると、「我々はシカゴに入る。時期はまだ決めていない」と明言。さらにJ・B・プリツカー・イリノイ州知事に軍の投入を要請するよう促しつつ、「私はこの国を守る義務がある。だからその権利もある」と主張した。
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