
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は4日(現地時間)、ウォール街で、ドナルド・トランプ米大統領の関税が米最高裁判所で無効化される可能性に備え、関税還付権の取引が注目を集めていると報じた。関税還付権とは、最高裁が関税を違法と判断した場合、企業が米政府に既に納付した関税の返還を求める権利を指す。同紙によると、金融業者らは関税負担の大きい企業に接触し、政府に関税還付を請求する法的権利の売却を持ちかけているという。
先月29日、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき各国に課した相互関税などが違法だとする控訴審判決が出て以降、還付権取引への関心が高まっているとされる。トランプ政権は3日、この控訴審判決を最高裁に上告した。最高裁が政権の迅速審理要請を受け入れれば、11月にも初めての弁論が行われる可能性がある。
最高裁が下級審判決を支持し関税を違憲と判断した場合、企業は政府に異議を申し立て、関税の返還を受けられる。そのため金融業者らは企業に対し、関税還付権の購入を働きかけているとみられる。
国際通商を専門とする法律事務所の関係者は、NYTに対し、関税還付権について問い合わせる顧客が増えていると語った。7月には、ウォール街の投資会社「キャンターフィッツジェラルド」が還付権を購入し、還付権を売却した企業に対して還付金の20%から30%を支払う商品を宣伝しているとの報道もあった。ただし、ブルームバーグ通信は、キャンターフィッツジェラルドが社内で還付権取引を検討したものの、実施しないことを決めたと伝えている。
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