米国疾病予防管理センター(CDC)局長の解任を巡り論争が再燃した。ドナルド・トランプ政権は製薬業界寄りとされるCDCを改革する方針を打ち出したが、CDC内部では「科学的知見に乏しい官僚が陰謀論を広めている」との反発が起きている。

28日(現地時間)、ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官は米フォックス・ニュースのインタビューで、米国疾病予防管理センター(CDC)に深刻な問題が存在し、是正に取り組んでいると述べた。
さらに「ワクチンを現代医学の成果と位置づけたCDCが虚偽情報の発信源となっている」とし、「勤務を継続すべきでない人物がいる」と主張した。
27日、スーザン・モナレスCDC局長が解任された。前後して幹部4人も退職し、いずれも呼吸器疾患や新興感染症ワクチンを担当していた。モナレス局長は彼らの解任要求を拒否しており、その直後に自身も辞職を迫られた。
「ワクチン陰謀論者」とされるケネディ長官は「ワクチンは自閉症を引き起こす。CDCは製薬業界の影響下でワクチン接種を推奨している」と主張してきた。
こうした経緯からモナレス局長は就任から1か月で解任の危機に直面したが、辞職要求を一度受け入れた後に撤回し、長官に対抗した。ホワイトハウスは「トランプ大統領がモナレス局長を解任した」と説明し、ケネディ長官を擁護する姿勢を示した。
この日、キャロライン・レビット報道官はブリーフィングで「大統領には自らの方針に同調しない者を解任する権限がある」と述べ、「後任は近く指名される見通しだ」と語った。
CDC内外の混乱は今回が初めてではない。ケネディ長官は昨年6月、CDC傘下の予防接種諮問委員会(ACIP)の委員17人全員を解任し、ワクチン反対論者8人を新たに任命した。
モナレス局長と共にCDCを去ったデブラ・ハウリー博士は「ACIPが重要ワクチンに関する勧告を放棄する可能性がある」と述べ、「CDCが科学的リーダーシップを失えば機能を喪失する」と警告した。
解任を巡っては、彼女を承認した上院保健教育労働年金委員会で党派を超えた批判が高まっている。ビル・キャシディ共和党議員はSNSで「モナレス局長らの解任は委員会レベルで監督が必要だ」との懸念を表明した。
コメント0