
インドの非同盟外交が再び世界の注目を集めている。米トランプ政権2期目の発足後、インドの親米政策が壁にぶつかり、伝統的な非同盟路線への回帰が見られるとの見方が出ている。冷戦期に確立されたインドの非同盟路線は、米国や旧ソ連のどちらの陣営にも公式に加わらず独自の道を歩むという外交戦略で、今日までインド外交のアイデンティティを規定する核心的概念になっている。
インドのナレンドラ・モディ首相は、伝統的な非同盟路線から脱却し、国益優先と実用主義に基づき、ここ数年米国を戦略的パートナーとして接近してきた。これには、アジア域内で敵対関係にある中国の台頭を牽制する意図もあった。しかし先月、米国のドナルド・トランプ大統領がインドに最大50%の相互関税を課し、この関係に冷や水を浴びせた。トランプ政権が発表したインドへの関税率は当初25%だったが、インドがロシア産石油の輸入を続けているという理由で、さらに25%上乗せされた。
この高い関税障壁に衝撃を受けたインド政府は、米国以外にロシアや中国との関係改善を模索し、再び外交政策の方向転換を図る動きを見せている。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は5日(現地時間)、米印関係の悪化に伴い、多くのインド当局者が困難な非同盟均衡外交の道を探っていると伝えた。
特にモディ首相は9月に入り、上海協力機構(SCO)首脳会議と中国の「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典」出席のため中国を訪問し、中国の習近平国家主席と首脳会談を行い、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも会談するなど、中ロに接近する姿勢を見せている。
NYTは、モディ首相がかつて真の友人と考えていたトランプ大統領の関税圧力に失望し、今月ロシアと中国の首脳と手を取り合ったことは(米国に)明確なメッセージを送っていると評価した。それにもかかわらず、インドが中国に接近することには、政治的・経済的のみならず領土問題でも限界がある。インドの権力中枢でも、対米関係が揺らいだからといって中国との接近を過度に進めるべきではないという声が少なくない。
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