財政難で内閣崩壊の危機…フランスきょう「運命の日」
仏議会、8日に首相信任投票
主要野党はいずれも不信任を表明
財政赤字の中、緊縮財政に逆風
「解散総選挙が政治的不安を拡大」
欧州連合(EU)第2の経済大国であるフランスが、財政難克服のための緊縮策をめぐり内閣崩壊の危機に直面している。フランソワ・バイル首相率いる内閣の政治的命運は、8日(現地時間)に行われる議会の信任投票で決まる見通しだ。

7日、英紙『ガーディアン』などによれば、バイル首相の内閣に対して主要野党が不信任案を提出する方針であり、議会で否決される可能性が高い状況にある。『ガーディアン』は「すでに深刻な政治的行き詰まりに陥ったフランスが体制危機へと突入する」と分析した。
バイル首相は最近「国家非常事態」を宣言し、440億ユーロ(約7兆6,000億円)規模の財政赤字削減案を発表した。公務員削減、社会保障費の凍結、祝日の削減などが盛り込まれており、国家債務比率が114%に達する危機的状況を打開する狙いだ。首相は「これは国家の生存に関わる問題だ」と強調し、「過去20年間で毎日1,200万ユーロ(約21億円)の負債が積み上がってきた」と述べた。
フランスの昨年の財政赤字は1,686億ユーロ(約29兆円)に上り、GDP比5.8%と、第2次世界大戦後で最大規模を記録した。政府は1兆5,000億ユーロ(約260兆円)の税収を得たが、中央・地方政府の運営費や社会保障に1兆6,700億ユーロ(約290兆円)を支出した。米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は、過大支出の背景にはコロナ禍とロシアのウクライナ侵攻による欧州エネルギー危機という二重の要因があると指摘している。
バイル内閣が崩壊すれば、約20カ月で3人の首相が相次いで退陣することになる。以前のミシェル・バルニエ前首相も、歳出削減や増税を含む予算案を進めようとしたが、野党の不信任で辞任に追い込まれた。バルニエ氏は議会承認なしで予算案を通す憲法条項を発動したものの不信任を受け、わずか3カ月で辞職し、第5共和制史上最短命の首相となった。
また、エマニュエル・マクロン大統領が昨年の欧州議会選で与党ルネサンスが極右政党・国民連合(RN)に敗北した後、下院を解散して総選挙を前倒ししたことも、今回の混乱を深めた要因とされる。大統領は憲法で年1回の解散権を持つが、総選挙でも過半数を獲得できず、「ねじれ国会」が続いている。
マリーヌ・ル・ペン氏率いる国民連合のみならず、社会党など左派勢力も不信任案に賛同を表明している。ル・ペン氏は再度の総選挙を要求し、急進左派政党「不服従のフランス」は大統領選の前倒しを求めている。マクロン大統領はこれらの要求を拒否しているが、議会で不信任が成立すれば大統領の求心力も大きく揺らぐとみられる。
米『CNN』は「バイル首相の運命は議会の信任投票にかかっており、否決されれば第5共和制史に残る出来事になる。マクロン大統領の立場もかつてなく弱まる」と報道した。『NYT』も「マクロン大統領が新たな首相と内閣を任命することになれば、フランスは政治的不確実性に直面する」と伝えた。
パリのシンクタンク、モンテーニュ研究所の首席アナリスト、ドミニク・モイジ氏は「第5共和制でこれほど深刻な政治的行き詰まりはなかった」とし、「体制転換は避けられないが、どう実現するのか、誰が担うのかは見えていない。我々はもはや機能しない体制と、誰も想像できない新体制のはざまにいる」と指摘した。
コメント0