
中国の習近平国家主席は8日、新興経済国の協議体である「BRICS」の首脳テレビ会議において、事実上米国を標的とする発言を行い、注目を集めた。中国国営の新華社通信によれば、習主席はブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領の招待を受け、テレビ会議形式でBRICS首脳会議に出席したという。
習主席は、世界各地で覇権主義、一方的主義、保護主義が蔓延していると指摘し、一部の国々が次々と貿易戦争や関税戦争を引き起こし、世界経済に深刻な打撃を与え、国際貿易ルールを著しく損なっていると批判した。具体的な国名は挙げなかったものの、その発言は実質的に米国を念頭に置いたものと解釈される。
さらに習主席は、この重要な時期においてBRICS諸国が「グローバルサウス」(主に南半球に位置する新興国および発展途上国の総称)の最前線として、多国間主義と多国間貿易体制を守るべきだと強調した。
続けて「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」を提案し、各国と協力して公正かつ合理的な体制の構築、国際関係の民主化の積極的推進、ならびにグローバルサウス諸国の代表性と発言力の向上を図るべきだと主張した。「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」とは、1日に中国・天津で開催された上海協力機構(SCO)首脳会議において習主席が提唱した、主権平等、国際法治、多国間主義を柱とするグローバルサウス諸国向けの政策方針である。
また習主席は、国連や世界貿易機関(WTO)などの国際機関を中心とした、多国間主義、開放・互恵、団結・協力の3原則の堅持を提案した。国連を中心とする国際体制および国際法に基づく秩序の維持と多国間主義の基盤強化が必要であると述べ、経済のグローバル化は止められない歴史の流れであり、各国の発展は開放と協力の国際環境なしには不可能であると強調した。
さらに、「鉄を打つには自らが堅固でなければならない。BRICS諸国が緊密に協力すればするほど、外部からのリスクや挑戦に対応する自信が高まり、対応策も多様化し、その効果も一層高まる」と強調した。BRICSは中国、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ共和国で構成される多国間協力体であり、昨年にはエチオピア、エジプト、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルゼンチンなどが加盟し、その勢力を拡大している。
一方、習主席は3日に中国・北京で開催された「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典」の軍事パレードにおいて、北朝鮮の金正恩国務委員長およびロシアのウラジーミル・プーチン大統領を招いた。中国、北朝鮮、ロシアの首脳が一堂に会したのは、冷戦時代の1959年以来66年ぶりであり、この日、習主席は「反西側連合」の主導者としての立場を誇示した。
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