「特定国が貿易戦争を引き起こし、世界経済に打撃」習近平国家主席、BRICSで再び反米姿勢

習近平中国国家主席は8日、BRICS首脳によるオンライン会議で「特定の国が相次いで貿易・関税戦争を引き起こし、世界経済に衝撃を与え、国際貿易規則を損なった」と述べ、アメリカを名指しせずに批判した。
この会議はブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領の主催で開かれ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領やインドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相らが出席した。中国が先週、抗日戦争勝利80周年の軍事パレードや上海協力機構(SCO)首脳会議を通じて反西側の結束を示した直後に、再び反米色を強めた形とみられる。来週には中国国防部が主催する多国間安全保障フォーラムも予定されている。
習主席は演説で「BRICS諸国はグローバルサウス(開発途上国)の先頭に立ち、多国主義を守るべきだ」と強調し、「私が提唱する『グローバル・ガバナンス・イニシアティブ』は、公正で合理的な国際体制を築くことを目指すものだ」と述べた。さらに「BRICS諸国は世界人口の半分近くを占め、経済規模は全体の3割、貿易規模は5分の1を占めている。結束が強まるほど外部の挑戦に対応する自信と選択肢が広がる」と指摘した。加えて「烈火の中でこそ純金が輝く」と述べ、「巨大な船であるBRICSは必ず嵐を乗り越える」と表現した。
BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国で発足し、昨年にはエチオピア、エジプト、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルゼンチンが加わり、勢力を拡大している。今回の会議は7月にブラジル・リオデジャネイロで開かれた首脳会議から2か月ぶりに開催され、ドナルド・トランプ米政権下の関税政策や制裁への対応、世界秩序の多極化が議論された。
会議は、米国と対立を深めるBRICS主要国が連携を強める中で注目を集めた。ブラジルは米国から大半の品目に対し50%の関税を課されている。先月26日、ルーラ大統領は閣議で「米国政府は世界の皇帝のように振る舞っている。トランプ大統領はどの国に対しても脅迫を行う」と公然と非難した。こうした圧力の下、ブラジルが中国との協力を強化する姿勢も鮮明になっている。ルーラ大統領の外交政策特別顧問であるセルソ・アモリン氏は「世界はもはや主要7か国(G7)だけに支配されるべきではない。均衡ある国際秩序には強力なBRICSが必要だ」と語った。
インドからはジャイシャンカル外相が出席したが、BRICS加盟各国がそれぞれ米国との貿易交渉の立場を異にしていることから、共同声明の採択には至らなかった。
また、北京では17日から19日にかけて第12回「香山フォーラム」が開催される予定だ。2006年に中国国防部が始めたこの会議は、シンガポールの「アジア安全保障会議(シャングリラ会合)」をモデルにした多国間安保対話の場で、今年は「国際秩序の維持と平和的発展」をテーマに、100カ国以上の国防・軍事関係者やシンクタンク研究者が参加するとされている。
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