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「会社の命令で渡米、戻ったのは鎖と入国拒否」米ヒュンダイ工場の摘発で絶望に沈む韓国人たち

織田昌大 アクセス  

数百人逮捕に在米コリアン社会が衝撃…合法的なビザ制度の整備が急務

引用:アメリカ合衆国移民・関税執行局ホームページ
引用:アメリカ合衆国移民・関税執行局ホームページ

数日前のニュースで見た光景が、今も頭から離れない。

ジョージア州の現代自動車・LGバッテリー工場での取締り報道と、列をなして鎖で縛られ連行される人々の後ろ姿。その瞬間、息が詰まる思いだった。

これが本当に2025年のアメリカで起きた出来事なのかと、信じがたい思いに駆られた。

戦争報道の一場面でもなく、普通に工事現場で働いていた人々が一夜にしてこのように連行される姿。背中だけでも家族はすぐに見分けただろう。モザイク処理されていても、指先や歩き方、着ている服は家族の目には一目瞭然だ。その光景を目にした瞬間、胸が引き裂かれ、目の前が霞んだに違いない。

私はノースカロライナ州在住で現場を直接見たわけではないが、アトランタを訪れるたびに目にする現代自動車グループ‐LGエネルギーソリューションのバッテリー合弁会社(HL‐GAバッテリーカンパニー)工場は、私にとって誇り高き愛国の象徴だった。だからこそ、今回の衝撃はより大きかったのだろう。

その場所まで4時間以上かかるにもかかわらず、ニュースやコミュニティのチャットで飛び交う情報を見ていると、まるで自分のことのように胸が痛む。今回逮捕された人数は合計475人、そのうち韓国人は約300人にも上るという。数字以上に、列をなして連行される後ろ姿から伝わる絶望感が心に突き刺さった。遠く離れた場所で画面越しにしか見ていない私でさえこれほどの衝撃を受けたのだから、家族や同僚たちの心中は察するに余りある。

会社の指示でアメリカへ

摘発された人々の大半は、B1・B2短期滞在ビザやESTA(電子渡航認証システム)など、就労が認められない資格で入国し働いていたとされる。実際には、彼らが自ら選択したというより、会社の「これでいい」という言葉を信じて従ったケースが多かったのではないだろうか。

急ピッチで工場を建設し人員を確保しようとする中で、合法的な手続きが後回しにされたのではないか。しかし、問題が発生すれば、その責任はすべて個人に降りかかる。自主帰国したとしても記録は残り、今後アメリカへの再入国が困難になる可能性があるという。これが果たして正当な処置と言えるのだろうか。

企業にとってはアメリカ入国可能な人材を再び雇えば済む話だが、個人にとっては人生が根底から揺らぎ、帰国の道のりは重い足かせとなるだろう。このような理不尽で悔しい思いをどれほど多くの人々が経験したのか考えると、怒りが込み上げてくる。

家族に残る傷をどう癒すのか

ニュース映像がいくらモザイク処理され、後ろ姿だけが映し出されたとしても、家族は必ず気づくはずだ。その瞬間の衝撃がどれほど大きいものか、想像するのは難しくない。

出張中の父親がテレビ画面に鎖で縛られ連行される姿で登場したら、子供たちはどれほどの疑問と恐怖を抱くことだろう。「なぜお父さんがあそこにいるの?何か悪いことをしたの?」という疑問が頭から離れないはずだ。

逮捕された従業員たちも、最初は「まさか自分まで」と思っていたかもしれない。しかし、冷たい刑務所に収監され、劣悪な環境に直面した瞬間、現実の重みが骨身に染みただろう。そこで感じた自己嫌悪、恐怖、そして屈辱感は簡単には消えない。

ある人々は「自分が間違っていたのか、家族を裏切ってしまったのか」と自責の念に駆られ、眠れぬ夜を過ごしているかもしれない。このような経験が残すトラウマは、数か月や数年で癒えるものではなく、一生涯付きまとう可能性がある。その後遺症こそが最も懸念される。

在米コリアン社会への衝撃

アトランタ韓国人会が「地域経済に大きな打撃」と声明を出したというが、その言葉が痛いほど胸に響く。在米コリアンが経営するレストラン、宿泊施設、小売店はすべて連鎖しており、一度に数百人が失われれば、経済も人々の心も崩壊する。韓国企業が設立した工場が、皮肉にも在米コリアンの足かせとなってしまったことは、非常に悲しい現実だ。私はニュースを見ながら「これは本当に我々のための投資なのか。結局、犠牲になるのは在米コリアンではないか」と考えずにはいられなかった。

さらに、地域住民の不安も大きい。現地の人々は韓国企業が地域発展を牽引すると期待していたのに、このような事態に失望を隠せないという報道もあった。投資と雇用創出という華々しい言葉の裏に、これほどの不法雇用と取締りが隠されていたという事実は、私たち全員に疑問を投げかける。

正直なところ、これからが本当に怖い。この事件をきっかけに、韓国人全体を同じ目で見る風潮が生まれないかと心配だ。「不法就労者」というレッテルが貼られれば、合法的に暮らす私たちまでもが不必要に萎縮せざるを得なくなる。実際、私自身も子供の学校行事に参加する際、余計な目を気にしてしまうのではないかと不安だ。

いつどこでも「もしかして君も…」という疑いの目が向けられるのではないかと懸念される。さらに、政界は「不法雇用撲滅」を叫び、メディアは鎖で縛られた映像を繰り返し流している。この映像はクリック数を増やすかもしれないが、画面に映る人物は誰かの父親であり、夫であり、息子なのだ。そう考えると、人々の心までも傷つけてしまうのではないだろうか。

このような雰囲気では、今後さらに取締りが頻発するのではないかと背筋が凍る思いだ。在米コリアン社会がますます萎縮していくのではないかと危惧している。

見過ごしてはならない問い

この事態を目の当たりにして、いくつかの疑問が浮かぶ。まず、労働力不足は明らかだったのに、なぜ政府や企業は適切な合法的ビザ制度を整備しなかったのか。数千人規模の人材が必要な状況で、場当たり的な対応を繰り返した結果、このような事態を招いたのではないか。

次に、法執行は必要だが、人々や家族に残る傷をどう癒すのか。取締りが終わり、ニュースが消えた後も、その傷と恐怖は残り続ける。なぜいつもこの部分が後回しにされるのか。

私は現場にいなかったが、テレビ越しの鎖の音だけで心が崩れ落ちる思いだった。その鎖は単に手首を縛るだけでなく、家族の生活と在米コリアン社会の誇りまでも縛り付けたかのようだ。二度とこのような光景が我々の家族や隣人に繰り返されないことを切に願う。今回の出来事が「不法雇用」という数行の報道で終わるのではなく、人々の涙と怒り、そして心の痛みまでもが伝わることを心から願っている。

織田昌大
odam@kangnamtimes.jp

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