
米ニューヨーク株式市場は9日(現地時間)、米国経済への懸念がある中でも主要3指数がそろって史上最高値を更新した。S&P500種株価指数は0.27%高の6,512.61で取引を終え、ナスダック総合指数は0.37%高の2万1,879.49となり、日中取引でも過去最高値を記録した。ダウ・ジョーンズ工業株価平均も、ユナイテッドヘルス・グループ株の急伸に支えられ、196.39ポイント(0.43%)高の4万5,711.34で取引を終えた。
同日午前、米国労働統計局(BLS)が発表した雇用指標の修正値により、投資家の懸念がさらに高まった。米国労働統計局は、昨年3月までの12ヶ月間における雇用増加数を、従来発表よりも91万1,000人下方修正した。これはウォール街の予想範囲の上限を超える大幅な修正で、2002年以来最大規模の下方修正となった。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、日経CNBCのインタビューで、経済の減速を指摘し、これが景気後退につながるのか、単なる成長ペースの鈍化なのかは現時点では判断できないと述べた。
今回の改定値はすでに6カ月前のデータであるため、当日の株価には大きな影響を与えなかったが、連邦準備制度理事会(FRB)が今年中により積極的な利下げに行う必要があるとの見方を強める可能性があるとの分析が出ている。
ノースライト・アセット・マネジメント最高投資責任者(CIO) クリス・ザッカレリ氏は、雇用の悪化傾向は秋の利下げを後押しする一方で、最近の株価上昇に水を差す可能性もあると指摘した。
前日は、ブロードコムとエヌビディアが牽引し、ナスダックが史上最高値を更新した。しかし、この日のブロードコム株は、直近2日間で急伸した反動から2%以上下落し、方向感を変えた。それでも、ブロードコムの週間の上昇率は約13%に達している。
投資家の関心は今、FRBの政策判断の鍵を握る重要なインフレ指標に移りつつある。先週の雇用低迷が利下げ期待を高めたが、今週発表されるインフレ指標が予想を上回る強さを示せば、市場の見通しが大きく揺らぐ恐れがある。生産者物価指数(PPI)は10日午前、消費者物価指数(CPI)は11日に発表される予定だ。
ザッカレリ氏は、CPIでインフレ悪化の兆候が現れれば、市場はスタグフレーション、すなわち景気後退と物価上昇が同時に進むリスクを懸念し始めるだろうと警告した。そのうえで、今年の強気相場は非常に力強かったが、今や再び試練に直面する転換点に達した可能性があると述べた。
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