
今週、ロシア製ドローン(無人機)がポーランド領空に侵入したことを受け、北大西洋条約機構(NATO)は「NATO第4条」を発動し、撃墜作戦に乗り出した。しかし、最新鋭戦闘機まで投入され、低空防空網の脆弱性が露呈するなど、大規模ドローン戦に対する備えが依然として不十分だという分析が浮上している。
ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、10日(現地時間)に緊急閣議を招集し、夜間に19件の領空侵犯が発生したと発表、NATO第4条を発動した。同条項は、加盟国が領土、政治的独立、安全保障が脅かされると判断した場合、同盟国との協議を要請できるものだ。これを受け、ポーランドのF-16戦闘機、オランダのF-35戦闘機、イタリアのAWACS早期警戒管制機、NATOの空中給油機が共同で投入され、ロシア製ドローンの撃墜作戦を遂行した。
ポーランドのヴワディスワフ・コシニャク=カミシュ国防相は、11日(現地時間)までに16機のドローン残骸が回収されたと明かした。彼は今回の試みについて、NATOとポーランドのウクライナ支援の意思を弱めようとするものだと指摘し、ウクライナ支援の大半がポーランド経由で行われていることが今回の侵入の動機になり得ると付け加えた。
11日(現地時間)、ロイター通信は今回の事件がNATOとロシア間の緊張を高めると同時に、NATOのドローン防衛態勢に疑問を投げかけていると伝えた。ポーランドのヤロスワフ・グロマジンスキ中将は、ユーロニュースとのインタビューで今回のNATO連合作戦を「蝿を捕まえるのに大砲を使うようなもの」と評した。今回の作戦で低空防空網の致命的な欠陥が露呈し、比較的安価なドローンに対して高価な最新鋭戦闘機を投入せざるを得なかったという分析だ。
米国の駐欧州陸軍司令官を務めたベン・ホッジス氏もソーシャル・メディア「X(旧Twitter)」で「NATO・EU軍は長期的な防空訓練を実施すべきだ。F-35とF-22をドローン撃墜に投入したのは、まだ準備が不十分である証拠だ」と投稿した。
グロマジンスキ中将はさらに、今回の作戦をシャヘド・ドローン攻撃とメディア活動が融合した「ハイブリッド作戦」だったとし、ロシア側がポーランドの対応能力と反応速度を試すためのものだったと付け加えた。実際、攻撃時にドローンが首都ワルシャワから97km離れたチェハヌフまで到達したという虚偽情報が拡散されたと伝えられている。彼は「重要なのはドローンを撃墜したかどうかではない。我々は当然の行動を取っただけだ。今最も重要なのはポーランド外交と同盟国の対応だ」と述べた。
国際連合安全保障理事会(安保理)は12日(現地時間)、今回の事態に関する会議を開催する予定だ。ポーランドによるドローン撃墜は、NATO加盟国がウクライナ戦争中に発砲した初の事例であり、ドイツは今回の事件を機にNATO東部国境支援を強化すると表明した。オランダは300名の兵力を派兵し、ポーランドに約束されたパトリオット防空ミサイル3基のうち2基の配備を前倒しする。チェコはヘリコプター3機と兵力100名を派兵できるとポーランド国防相が述べた。
バルト三国は米議会に対し、米国のドナルド・トランプ大統領が提案した年間2億ドル(約295億210万円)規模の防衛支援削減案を拒否するよう求めた。リトアニアの元駐米大使、ジギマンタス・パビリオニス氏(Zygimantas Pavilionis)は「この地域から米国が撤退すれば、ロシアが侵入してくる」と語った。
一方、米NATO大使のマシュー・ウィテカー氏は「NATO領土のわずか1インチでも防衛する用意がある」と述べたが、ホワイトハウスおよび米国務省、国防省は今回の領空侵犯事件について沈黙を守っている。
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