
フィリピンは11日、南シナ海で最も激しい紛争地域の一つであるスカボロー礁(黄岩島)に国家自然保護区を設置するという中国の計画に抗議し、即時撤回を要求した。
海外メディア・ニューシスは、10日、中国国務院が黄岩島における国家自然保護区の設置計画の承認を発表したと報じた。中国国家林業草原局は、この計画の目的をサンゴ礁の保護と説明した。
スカボロー礁は、中国とフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾を含む周辺国が領有権を主張する南シナ海の島や礁の一つだ。
フィリピン外務省は「国際法に基づくフィリピンの権益を明らかに侵害する中国の違法行為に対し、外交的抗議を行っている」と主張し、「バホ・デ・マシンロック(スカボロー礁のフィリピン名)に関するフィリピンの主権と管轄権を尊重し、国務院の発表を撤回するとともに、国際法上の義務を遵守すべきだ」と中国に求めた。
さらに、フィリピンは中国、フィリピン、台湾が領有権を主張するスカボロー礁で、中国が自然保護区を設置することは絶対に容認できないレッドラインだと宣言した。
中国国務院は10日、「黄岩島国家自然保護区の設置は、黄岩島の自然生態系の多様性、安定性、持続可能性を維持するための重要な保証だ」と述べ、中国海南(ハイナン)省三沙(サンサ)市に位置し、面積は35.2367平方キロメートルに及ぶと発表。さらに、自然保護区に指定された地域を示す地図も添付した。
南シナ海における中国の攻撃的な行動を批判してきたホセ・ロムアルデス駐米フィリピン大使は、「今回の中国の計画は明らかに、自国の十段線主張を正当化するための新たな策略だ」と指摘した。
近年、スカボロー礁付近では中国とフィリピンの船舶間で衝突が頻発している。先月も、中国海軍の艦艇がスカボロー礁に接近していたフィリピン海警の巡視船を阻止しようとした際、両国の海警巡視船が衝突する事態となった。
米国は、紛争海域において領有権を主張していないが、フィリピン軍、船舶、航空機が南シナ海を含む各地域で武力攻撃を受けた場合、長年の同盟国であるフィリピンを防衛する義務があると繰り返し表明している。
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